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テーマ:短編を作る(405)
カテゴリ:Short stories
短編 ~風が風であるなら~ 五月も二十日を過ぎ、 あなたの街の風も、 街路樹の青葉と同じ薫りを漂わせている頃でしょうか? わたしの佇む異国の窓辺には、 南の町には澱んだ靄が気怠く寄りかかり、 北の山には緑萌え、 真っ青な空には大きく厚い真っ白な雲が、 灼熱の国の物語の、ランプの精のように突然姿をあらわして、 今年の猛暑の兆(きざし)をみせているようです。 突然・・・ 連絡を絶ったことをお許しください。 あなたの心に投石する行為だったら、お許しください。 わたしがこう望んだとか、 これで良かったのだとか、 わたしはわたし自身のことであるのに、 言い切ることができないでおります。 もしかしたら、 優柔不断で煮え切らぬわたし自身の心に、 身体が苛立ち、衝動的にお傍を立ち去ったのかもしれません。 わたしの身体は、 わたしが気づいているよりずっとずっと、 あなたのお近くにいるだけで甘ったれ、 ほっとかれたら弱くて脆い、 そんな 心 に我慢がならなくなっていたのかもしれません。 そしてまた、 あなたから少し離れさえすれば、 わたしの心はふたたび引き締まり、 地面をしっかり踏みしめるだろう、 そんなわたしの心の強さの一面を、 わたしの身体は知っていたのかもしれません。 ・・・ ・・・ ・・・ こんなふうにもっともらしく、 あなたに書いてみてはいるけれど、 わたしがあなたに語る説明やら言い訳は、 まったく何の意味にも、理由にもなっていないし、 本当は意味も、理由もないのでしょう。 わたしはふと、こんな風に感じたのです。 無数のあなたという風が 無数のわたしという風が この相対の世界のなかで 異なる風向きに 異なる温度 異なる強さで 時に 優しく混じり合い 時に 激しくぶつかり合い いつでも どこでも 吹き透っています ある日突然 わたしがあなたと出逢い また ある日突然 わたし(あなた)が あなた(わたし)の前から去っていくのは あなたとわたしの正体が風であり 風が風であるならば 不自然ではなく むしろ 自然の成り行きだったのではないか? っと。 もしかしたら いつかまた おなじような時期の同じような気候に 少し温度と風向きを変えて あなたという風と わたしという風は 出逢うのかもしれません・・・ そしてまた 出逢うことは 二度とないのかもしれません・・・ にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年05月24日 04時30分14秒
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