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テーマ:短編小説を書こう!(490)
カテゴリ:Short stories
いつだってあたしの馬はオーバーヒートするまで暴走する。 そして走ることに無我夢中になった馬は、 どこをどんなスピードで、 あたしを乗せて駆けているのかもわからなくなってしまう。 そんなあたしの馬を固い絆で結びつけて置ける人なんてこれまでいなかった。 あたしにだってできやしないんだもの。 これからもきっと無理。 たとえもの好きな御方が現れて、 きつくきつく綱であたしの馬を結いつけられたとしても、 なんにもならないことを知っている。 いつだってあたしの馬は駆け回りたがり、駆け回っていて、 よほどきつく縛りつけたって、 あたしの馬の口にかけた手綱になんてならないもの。 それでもあえなく断絶した使い物にならなくなった綱が、 切れ端でも残していたらそれをみて、 じゃじゃ馬と化したあたしの心は、 人の心の形態を取り戻すのだろうか? ・・・そんなおとぎ話のようなことはないねえ。 そう、それならいい。 あたしはあたしの馬に口輪をはめよう。 あんたの口には輪なんてはまってないじゃない?! あんたはあんたの口に自分で輪をはめることなんてできないじゃない!! なんて想像力の欠片もない人に何を言われたっていいの。 あたしは全く気にしない。 ダイヤモンドやルビー、サファイヤ、 まして流行りのパワーストーンなんかにゃ、 まったく興味をそそられないあたしの口輪には、 そんな石ころの変わりに、虹の七色をした甘い金平糖をはめ込むの。 じゃじゃ馬の心模様で七変化する虹の金平糖。 そしてあたしの胸ん裡(なか)でこのじゃじゃ馬が、 落ち着き無く長い時間駆け回り続けていて、 血糖値が下がって血圧があがっていたら、 それを一粒、二粒爪ではがして口に含んで、 金平糖が夜空彩る、おとぎの国の夢の世界へと向かわせてしまおう。 そしてどうしても、 停止させなければいけなくなった時には金平糖のかわりに、 じゃじゃ馬の目を盗んで幾つかはめ込んでおいた正露丸をその口へと放り込むの。 さすがのじゃじゃ馬もお腹の裡にあるもの全部排出せざるを得なくなって、 脱水症状起こして止まらずにはいられなくなるから。 正露丸を放り込む時だって、かけはやるあたしの心をこう欺くの。 これは黄金の金平糖に黒糖をまぶしたものなのよって。 舌が痺れるほど甘味なのは、世にも希な金平糖だからなのって。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年08月30日 23時10分41秒
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