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テーマ:短歌(1697)
カテゴリ:2017年来日記
息子の不満も“こんなところ嫌だ、どうしてこんなことになるんだ。どうしてこんなところに来たんだ、なんで奴はいないんだ!”っと爆発していた。ホテルのガラス扉の外には、軽食をとったりタバコを吸えるようなイスとテーブルが幾つか置いてあった。暇を持て余し扉から外を眺めていた息子は声を潜めて“お母さん誰か来た、もしかしたら浮浪者かもしれない、お母さんは覗かないで!“っと言ったのだった。息子はその後もその人影の様子を伺っていた。そして“ああ、いいなあ、、、お母さん、あの人テーブルで焼きそば(インスタントと思われる)を食べてるよ、あ!お母さん二つも食べているよ!僕も食べたいなあ“彼が口にしているものに息子は目が釘付けになっていたようだった。ところが息子の予想に反して焼きそばを食べ終えた男性は、自動扉から私達がボケっと座っていたところに入ってきたのだった。 ホテルの狭いロビーは薄暗かったので、彼の髪、瞳、肌の色はわからなかったけれど、彼が三十歳前後の外国人であることはわかった。私は藁をもすがる思いで彼に話しかけてみた。“どちらの方ですか?”とまずは尋ねてみたら、彼は少し困ったような笑顔になって、“母はトルコ人で父はキプロス人(もしかしたら逆かもしれないけれど、両親の二つの国は確か)で僕はイギリスで生まれて、オーストリアに住んでいて、ホリデーは日本で過ごします”っと答えたのだった。彼がご機嫌に程よく酔っ払っていたからかもしれないけれど、彼の英語は私にとてもわかりやすい音だった。私は彼に“ホテルの人はいつやってきますか?私達はイランから来ました、とてもとても疲れています、早くベッドに入って身体を休めたいのです。”っと言ったら、“へえ~イランからきたの?イランに住んでいるの?君(息子)向こうの言葉話せるの?”っとそっちの方に興味をそそられたようだったけれど、二階には相部屋と共同トイレとシャワー室、そして台所があって、台所のあるスペースには横になれるソファーがあるから其処へ行って今夜は身体を横にすると良いっと言われた。そしてラッキーだったことは彼からホテルのInternetのパスワードを教えてもらえたことだった。 二階のその共同スペースには中国人女性がいることはわかっていたので、とてもあの甲高い話し声と笑い声を子守唄にはできないし、荷物や貴重品のこともあるので、たとえ横になっても眠ってはいけないだろうし、そんなところでは身体はともかく神経が休まらないだろうっと私は思った。とにかくまずは夫に無事であることを連絡してそれからどうするか改めて考えようと思った。 ネットを使ってlineで、ホテルに着いたが、フロントにいるはずの男性がいないことを夫に告げると、フロントにいるべきである男性のlineに連絡を入れると答えて私は通話を切った。そのあとおそらく十五分ほどしてフロント係の男性は下に降りてきたのだった。後から夫に聞いた話によると彼は二階のあの中国人女性らと一緒にいてそこで眠りこけていたということだった。(私は呆れて言葉を失った) 私たちは三階の隅部屋に連れて行かれた。そこには二階建てベッドともう一つベッドがあって三人泊まれるところなので、明日部屋を変えるかもしれないけどとりあえず今夜はここを使ってっと言われたのだった。もうどうでもいいし、どこでもいいやっと、サッサっと部屋のドアを閉じて、必要最低限の品を出して着替えてベッドに足を伸ばせたのは三時を過ぎていたように記憶している。 【酒酔ひの得体の知れぬ異人こそ救世主なる世ぞ面白き】 酒に酔っ払った得体のしれない外国人が救世主だったりするからこの世は小説以上に意外で面白いのだろうねきっと。 ※私達にネットのパスワードを教えてくれた外人さんとはこれっきりで二度と顔を合わせることはなかった。 義妹のvillaで飼っている家鴨 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017年08月19日 01時16分50秒
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