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カテゴリ:越前がに
冬の味覚の王者「越前がに」、ぎっしりと詰まった身はほんのり甘い 「越前がに」は北陸の味覚の王者ともいわれていますが、日本海の荒波でもまれて育つため、肉質がひきしまり、ぎっしりと詰まった身はほんのり甘いという。カニのシーズンに入ると、この味覚を求めて、遠く関西、中京方面からも「越前がに」を食べにを多くの観光客が訪れます。「越前がに」の主な水揚げ基地は、越前漁港(越前町)と三国漁港(坂井市)です。平成元年(1989)には「越前がに」が"福井県のさかな"に指定されました。 「越前がに」の漁場まで"日帰り漁"、だから新鮮! 福井県の沖合いは暖流と寒流が交わる地点にあり、良質のプランクトンが豊富な好漁場として知られていますが、ここが「越前がに」の漁場でもあります。その漁場は、越前海岸の各漁港から近く、比較的小さな漁船で"日帰り漁"をすることから、新鮮さを損なうことなく捕り立てのカニが水揚げされるといわれています。福井県で水揚げされたカニには、その証として標識札"黄色いタック"が脚に付けられており、お墨付きの「越前がに」かどうか一目で分かるようになってます。 福井県で水揚げされた雄のズワイガニは「越前がに」の愛称で広く親しまれ、福井の味として広く定着した感があります。雌のズワイガニは「セイコ」、脱皮して半年以内の雄のズワイガニは「水ガニ」と呼ばれています。しかし一方では、「越前がに」には、雄雌、大小、脱皮の関係などにより、「ズワイ」「セイコ」「水ガニ」などの商取引上の名称がつけられているともいわれています。
雄の「越前がに」は脚を広げると大きさが70~80cmにも達し、みためが豪華なことから料亭向けや土産用に人気があるようです。濃厚なカニ味噌はもちろんですが、身の入りがよく食べごたえがあります。漁獲時期は11月初旬から3月まで。「セイコ」は、外子卵がふ化まじかにまで進み、加えて内子と呼ばれる卵巣が大きく成熟した雌ガニです。大きさは20cm前後と小ぶりですが、通にはむしろ雄よりも喜ばれているともいわれています。漁獲時期は11月初旬から1月末まで。「水ガニ」は脱皮半年以内の甲羅が軟らかい雄をいい、水っぽく、身の入りが少ない。脚の身がズボッと取れることから「ズボガニ」ともいわれています。例年、12月下旬から漁獲が始ります。 ところで「越前がに」の歴史は古く、安土桃山時代には「越前がに」の名称で都人にも親しまれていたようです。京都の公家で歌人でもある三条西実隆は、60年余に及ぶ日記「実隆公日記」を残していますが、その永正8年(1511)3月20日には「伯少将送越前蟹一折」などと記されていることから、そう考えられています。「伯少将送越前蟹一折」は「伯少将へ越前蟹一折を送る」という意味のことです。 一方、日本最古の歴史書「古事記」にも、「越前がに」を思わせるような記述があります。それは「古事記」中巻の応神天皇の条項に書かれています。それによると、応神天皇が近江の国(滋賀県)に行幸された時に酒宴が催され、そこでだされたカニに呼びかけるように「この蟹や 何処(いづく)の蟹 百(もも)伝う 角鹿(つぬが)の蟹 横去らふ...」と即興の歌を読まれたという。この歌の中にでてくる「角鹿(つぬが)の蟹」の角鹿とは敦賀のことをいっていることから、このカニを越前のズワイガニとみるむきもあるようですが、カニは水深200m超の海域に生息していることから、当時の操業能力を考えると、この頃のカニ漁獲を疑問視する見方もあるようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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