「ゴッホ展」見てきました
楽しみにしていた「ゴッホ展」。開催されると知ってすぐペアチケット(2人で1,800円!安いっ)を購入したのは昨年の12月。土日の混雑を避けようと、会社の休みを取ってようやく今日行ってきた。が、平日でも45分待ちのプラカードが・・・甘かった。友人とめげずに並ぶ。昨年の「マティス展」でも、昔「MOMA(NY近代美術館)展」でもけっこう並んだし。これまでで一番並んだのは「フェルメール展」だった。平日午前にかけつけて、炎天下の中、外で2時間、中に入って30分くらい。あれは大変だったな・・・倒れる人がいてもおかしくない、何かいい解決法はないんだろうか。「ゴッホ展」は実際は20分くらいで入れた。よかった!でも中もすごい混みようで、最初のほうは飛ばしてまず狙っていた見たい絵から見始め、その後空いてそうなところを次々見ていった。私はこれまでそんなにゴッホ好きというわけではなかった。パリでオルセー美術館行ったときも、ゴッホの作品は多数あったのにルノワールやモネに目がくぎ付けになっていた。でも今回ちらしの「夜のカフェテラス」を見たときこれまでのゴッホのイメージと違って、いいなあ!これ見たい!と強く思った。そして「夜のカフェテラス」以上に、心をぐっととらえた作品は「種まく人」や「糸杉と星の見える道」だった。「種まく人」の太陽の強さといったら!黄色はゴッホの生理的な色なのだろうが、パリ時代の静物の絵などに塗られている緑がかった黄は、どこか鬱屈した感じがして、病的な神経質な黄色だが、それがアルル時代になると、力強く外に発散された感じがする。太陽の光が強烈な黄色、黄緑で、出口を見つけたように放射されている。種まく人の畑も不思議なブルーやオレンジがかったピンク、グレーなどがうねうね生き物みたいに地面をおおっていて独特なリズム。左隅にちいちゃい家が描かれており、つつましくかわいらしくて、愛しくなってくる。「種まく人」といいつつ、種まく人は脇役な感じ(笑)「糸杉と星の見える道」は力強くもあるが、配置のバランスなどがとても美しく感じられた。実は綿密に繊細に制作されたのだろうと思う。星とその輝きが何とも言えず、かわいい。おしゃれ。糸杉や空のうねる筆あともすべてがらせんを描き、もえたっている。う~ん、これまでゴッホの、こういううねる絵はそのよさがいまいちわからなかった。でも今回、初めてそのよさを感じ取れた気がする。大きな収穫だ。ミレーやドラクロワの模写も圧倒された。模写といいつつこれは模写じゃない、超えてる!と思った。ゴッホの強烈な生理がどっと前面に出てる。でも元気がないとき見たら、ちょっとやられそう・・・そんな毒味のようなものさえ感じる。ゴッホ以外の作品では、ミレーの「パンを焼く女」がよかったな。これは昔ミレー展で見たことある気がする・・・懐かしい。女の無駄のない、力強い右ひじがいい。シニャックの点描の「糸杉」も、まったくゴッホと異なり面白い。スーラやシニャックなどの点描の作品は、理論として興味深いものの、印刷で見るとぜんぜん魅力がない。でも実際作品を見ると、すごくいい!とまで思わなくてもけっこう目が奪われてしまうのはなぜだろう?これまで知らなかったドービニーという画家の作品もよかった。曇り空の、遠い地平の描写が心魅かれた。曇り空を描こうとするところからまず、いいなと思ってしまう。広重も好きなので、ゆっくり見たかったが、あまり見れなかった。広重はまた別な機会に見ることにしよう。その後、一緒に見に行った友人とお茶してものすごくいい天気だったので北の丸公園を散歩した。桜がわずかに残っていた。つつじのつぼみが色さまざまに濃い緑の中に点在しておりつつじのつぼみがこんなにかわいらしいものだと初めて気づいた。大きなけやきの木の下でひと休みし、ここちいい風に吹かれながら今回の「ゴッホ展」を反芻した。ぜいたくな時間だった。ゴッホ展詳細のURL【国立近代美術館】http://www.momat.go.jp/Honkan/Gogh/【東京新聞】http://www.tokyo-np.co.jp/event/gogh/【NHK】http://www.nhk-p.co.jp/tenran/gogh/