国宝 風神雷神図屏風@出光美術館
出光美術館へ、終了ぎりぎりで、「国宝 風神雷神図屏風―宗達・光琳・抱一 琳派芸術の継承と創造―」を見に行った。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、それぞれの風神雷神図が66年ぶりに一同に会するということで、さすがに人気があって午前中にかけつけたのに、長蛇の列&かなりの混みよう(T_T)俵屋宗達尾形光琳酒井抱一私にとっては宗達のが一番よかったかな。決め手は衣の流れ、その曲線の美しさ、のびやかな強弱のつけかた。非常に魅力的でうっとりしてしまう。また、風神と雷神の視線が、光琳や抱一のは互いを見合っているけど、宗達のは、互いを見ていない。雷神は下界を見下ろし、風神は虚空を見ているように見える。そのことも私好み。時代を下るごとにマンガ的と言われているようだけど、彩色が鮮やかに残っているからかもしれないなあ。宗達のも元の色で見ることができたら、かなりマンガ的だと思う。"ハレ"の色の取り合わせに、そのパワーに、驚くだろうな。見てみたいものだ。メインの風神雷神図屏風の後は、紅白梅、秋草図、かきつばたなど、テーマに沿って数点ずつまとまりよく作品が展示されていた。酒井抱一「紅白梅図屏風」、銀地に、左に白梅、右に紅梅。清冽な白梅がすがすがしい。伝尾形光琳「紅白梅図屏風」、金地に紅白梅。梅の木の足元の、池とおぼしきところと背景との境目に、小さな四角い金箔が散りばめられ、非常にデザイン的で驚く。右の屏風の、真ん中に直線的に小さく差し出された梅の枝も、大胆な構図。余白の部分、ただただ金の空間が、"雄弁な無言"を感じさせる。秋草や、十二ヶ月花鳥図などの繊細な表現はやっぱり抱一が、心憎いまでに素晴らしかった。仙崖の味のある墨絵。やわらかくぞんざいで、かわいく楽しい。出光美術館は初めて行ったが、普段だったらほどよい規模で落ち着いて見れそう。しかし今回は非常な混みようで、どっぷり疲れてしまった。国宝の宗達の「風神雷神図屏風」前では2人の警備員さんが「前列の方は立ち止まらないでくださ~い!立ち止まるなら後列にお並びくださーい」と両脇から叫び続けている。確かにかなり混んでいるから、しょうがないのかなあ・・また、描かれている植物の名前をすべて声に出して数え上げないと気のすまないおばさま、連れの女性にうんちくをたれるおじさま、もうちょっと小さな声でお願いしますでも、美術品をこうしてわいわい言いながら見るのも実はいいことなのかもしれない。堅苦しく見る必要はないしなあ、と思い直したりして。それでもだんだん頭が痛くなってきたので、けっこう並んだ割には、早めに美術館を後に。帰りのエレベーターも並んで待たなければいけなかった。しかし待ってる間、エレベーターホールの壁のさりげない塗りが美しいことに気づいた。波のようなゆらぎの文様が、同色の壁材の塗りだけで描かれており、控えめなだけに、ここちよい。けっこう凝ってる会場なんだな・・・また何かの展覧会で来よう。