永井雅人さんの個展@なびす画廊
昨日は永井雅人さんの個展を見に、銀座のなびす画廊へ行った。案内はがき"Blue in Blue"(カラーエッチング)昨年行った「未来への贈り物」展のときは、残念ながら銅版画の展示はなかったので、今回、それを見られるのが楽しみだった。モノトーンの銅版画は、WEBの写真で見るよりずっと生き生きして静かで柔らかく、寡黙でありながら雄弁だった。想像よりも大きな作品たちであるにも関わらず、なんて緻密な濃さなのだろう!植物的、水面のよう、淡い木漏れ日の影、骨のような白いもの、風、うねり、蔓、波。吹き荒れているかのように入り乱れる黒なのに、暴力的ではなくすべて内面へと向かっている。そんな静けさがある。もんどりうってうねり、絡み合っている黒が白が、静止した空間に、永遠にそのパワーを封じ込められているような。遠い記憶の断片のような淡いグレーの影が、懐かしい場所へと想いを運ぶ。長方形を組み合わせたカラーの作品も、より鮮やかで、写真で見るのとはずいぶん印象が違った。永井さんは冷たいお茶を差し出し、作品についていくつか質問に答えてくださった。大きな銅版画を描くにはすごく体力や忍耐力が必要そうに思うので、寡黙ながらパワフルでがっしりして、自信を身体の表面に帯電させている方、というイメージを勝手に抱いていたけれど、お会いしてみると、永井さんは、控えめで訥々として繊細な印象の方だった。そしてときどき、(初対面だからかもしれないけれど)違う小さな星からやってきたかのような、何かこの惑星の言語やしきたりに、自分を翻訳しきれないものをひたひたと内面に隠し持っている、そんな印象を持った。(失礼な表現だったらごめんなさい・・)これまであまり銅版画はどちらかというと苦手だったけれど、今回、印象が変わった。これらの作品が、技法というよりも、どのような精神と感覚から生まれるのか、興味深い。また機会があったら、ぜひ個展を見に行きたいと思った。「永井雅人展」は銀座のなびす画廊にて、2007年5月21日(月)~26日(土)まで。