ミゲル・アンヘルフラメンコ舞踊団
3月4日、ミゲル・アンヘルフラメンコ舞踊団による公演、「アンダルシア~情熱の瞬間~」を八王子で見た。ミニコミ誌のチケットプレゼントに何気なく応募してみたら当選し、思いがけずペア招待券をゲットできたのだ。大学のミュージカルサークルのときのK子先輩をお誘いしたところ、急だったにも関わらず快諾してくれた。私は会社をちょっとだけ早く上がらせていただき、中央線でまっしぐら!八王子に到着。大学が多摩地方だったのでその頃以来、10数年ぶりの八王子だなあ。街が変わってしまったというより、私自身がすっかり忘れている・・市民文化会館は初めて足を踏み入れたが、こんな大きなホールではマイクを通しての音になるのがちょっと残念。やっぱりフラメンコはじかにカンテ(歌)やパソ(ステップ)の音を身体に響くほど感じながら見るのが本来的だなあ、と思った。音がちょっとまろやかすぎて感じられる。衣装のすそを翻して踊る女性ダンサーたちの、やわらかくしなやかな手先、背すじ。男性ダンサーたちは汗を飛び散らせ、鋭角的に音を刻む。舞踊団を率いているミゲル・アンヘルのソロの振りでは、細かいパソを信じられない速さで延々と連打するシーンが見せ場になっていた。正確な音を、消え入るかと思うほどのピアニッシモの極限まで鳴らし続け、息のつまるような時間を味わわせてくれた。ただただため息。フラメンコを見ているうちにダンスが、生活に街に息づいている街があることを想う。アンダルシアのパティオで、ハバナの酒場で、ニューオーリンズの街角で、人々が集い、音楽が流れ、誰ともなく踊りだす。音楽やダンスの種類は異なっても、ダンスが街になじみ、人々とともにダンスがあるような街、私はそうした街の空気感にとても憧れてしまう。いつしかそんな街の幻影を重ね合わせながら、舞台を見ている自分に気づく。終演後、フラメンコやタップダンスについて話し合いながら八王子の通りを駅に向かった。K子先輩は仕事でインド舞踊に触れる機会があったとかで、一部のインド舞踊とフラメンコとの相似を指摘し、非常に興味深かった。足を打ち鳴らすステップも、短調の哀愁ただよう謡いも似ている、と。確かにジプシーはインドが根源なので、ダンスの起源も一緒かもしれない。インド舞踊は見たことないので、見てみたくなった。ちなみに同じ足を打ち鳴らすタップダンスは、イギリスやアイルランドの木靴による民族舞踊が起源だと昔タップの師匠が言っていたのを思い出し、そんなことも話した。それがアメリカで黒人のダンスと融合して今のタップダンスの形になったらしい。一時期アイルランドのリバーダンスが非常に流行ったけれど、タップとリバーダンスとの起源も同じなんだろうなあ。ダンスの話をするのは楽しくて、行きは遠く感じたのに、帰りはすぐ駅についてしまった。八王子駅近くで先輩と軽く飲んで食事した。とてもリラックスしてしゃべれたので楽で楽しかったな。昔の舞台の仲間はいいなあ。また一緒に舞台を見に行く約束をして別れた。いい夜だった。