バレエレッスン
空気が小さな輝く粒子で満たされる。そこには確かに微粒子があふれ、濃度があるのだ。その中を分け入るようにグランジュテで跳ぶ。さっきよりも大きく、より高く、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!アッサンブレは大きく斜め前方へ、跳んでは素早く足先をバッチュし、腕は遠くへ差し出し、空気を切り裂く。しかし着地時には、あくまでも腕は優雅にアンバーの位置に戻さなければならない。そんな繰り返しの中で、隣でステップを踏んでいた子が、振りを終えると自然と笑い出す。言葉も交わしたことのない、名前も知らない子だけど、私も言いようのない喜びが身体から湧き上がり、つられて笑う。可笑しかったわけじゃない、ただ踊れることが、跳べることが、この時間に在ることが、嬉しい。手応えを感じる。身体が歓喜の声を上げる。リズム、旋律、ステップ、流れ、先生の声、その空気を全身に浴びて、私は生きている瞬間を味わい尽くす。時間が、止まる。