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2007.08.18
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カテゴリ:音楽




「谷中琵琶style vol.3~想う」



もう1ヶ月以上過ぎてしまったけれど、7月6日に行った琵琶ライブについて。


Nちゃんの主催する「谷中琵琶style vol.3 想~おもう~」を見に行った。
谷中琵琶styleは2人の女性奏者による琵琶演奏のユニットで、
昨年2006年から本格的に活動を始めて今回3回目になる。

アトリエ・アランウェストでの1回目は体調を崩して行けず、
古い民家、市田邸での2回目は日にち調整しているうちにチケットが売り切れに。

3回目にしてやっと行くことができて嬉しかった。
今回は大正時代の洋館、根津教会での開催。


根津駅に降りたのは初めて?だと思う。
個人商店のちらほら見える大通りから小道に入ると、
古色ゆかしい住宅街が夕闇の中にひっそり広がっており、
その一角に根津教会がたたずんでいた。
懐かしいようなオレンジ色の電灯がともっていて、
まるでおとぎの国に迷い込んだような大正時代の洋館だった。


プログラムはこれまでNちゃんのライブで見てきたような古典ではなく、
建礼門院右京大夫や八百屋お七などの物語を作詞・作曲・脚色したり、
「かごめかごめ」「赤い花白い花」などのなじみ深い歌をアレンジしたり、
「嵐が丘」のような洋物まで扱ったりして、さまざまな試みが見られた。

また、私は琵琶2台での演奏は初めて聴いたので、新鮮に感じられた。
「かごめかごめ」の輪唱は、2つの琵琶、2人の奏者ならではの美しさだった。


中でも非常に興味深かったのは、大正時代の洋館に合わせたセレクトだろうか、
「砂漠の町とサフラン酒」という小川未明の童話を脚色したもの。

大正や昭和初期のころの異国情緒、不思議な懐かしさ、
小川未明の童話のもつ妖しさ、哀しさ、恐ろしさなどの独特の雰囲気が
琵琶の弦のマイナーな響きにこんなにも合うのかと驚いた。


クライマックスでは、高まっていく情念を打ちつけるように、
2台の琵琶がユニゾンでテンポを上げ、クレッシェンドしていく。
鳥肌がたつような、音の奔流だった。

乾いた砂漠の町での倦怠感、焦燥感、暗い情念の風景が、
畳み掛けられる琵琶と語りによって、私の中にもどろりと流れ込んでくる。
原作は読んだことないけれど、とても興味をかきたてられ、
読んでみたくなった。


初めて見た琵琶の独創的な空間。
琵琶ひとつにもこんなにさまざまな可能性を見せてくれたことで、
なぜか私は元気をもらって、帰りは無性に歩きたくなって、
根津から上野駅まで弾むように歩いてしまった。

また次回は、どんな物語世界を見せてくれるだろう、
今から楽しみになった。






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Last updated  2017.02.14 22:25:24
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