テーマ:楽器について♪(3648)
カテゴリ:音楽
「谷中琵琶style vol.3~想う」 もう1ヶ月以上過ぎてしまったけれど、7月6日に行った琵琶ライブについて。 Nちゃんの主催する「谷中琵琶style vol.3 想~おもう~」を見に行った。 谷中琵琶styleは2人の女性奏者による琵琶演奏のユニットで、 昨年2006年から本格的に活動を始めて今回3回目になる。 アトリエ・アランウェストでの1回目は体調を崩して行けず、 古い民家、市田邸での2回目は日にち調整しているうちにチケットが売り切れに。 3回目にしてやっと行くことができて嬉しかった。 今回は大正時代の洋館、根津教会での開催。 根津駅に降りたのは初めて?だと思う。 個人商店のちらほら見える大通りから小道に入ると、 古色ゆかしい住宅街が夕闇の中にひっそり広がっており、 その一角に根津教会がたたずんでいた。 懐かしいようなオレンジ色の電灯がともっていて、 まるでおとぎの国に迷い込んだような大正時代の洋館だった。 プログラムはこれまでNちゃんのライブで見てきたような古典ではなく、 建礼門院右京大夫や八百屋お七などの物語を作詞・作曲・脚色したり、 「かごめかごめ」「赤い花白い花」などのなじみ深い歌をアレンジしたり、 「嵐が丘」のような洋物まで扱ったりして、さまざまな試みが見られた。 また、私は琵琶2台での演奏は初めて聴いたので、新鮮に感じられた。 「かごめかごめ」の輪唱は、2つの琵琶、2人の奏者ならではの美しさだった。 中でも非常に興味深かったのは、大正時代の洋館に合わせたセレクトだろうか、 「砂漠の町とサフラン酒」という小川未明の童話を脚色したもの。 大正や昭和初期のころの異国情緒、不思議な懐かしさ、 小川未明の童話のもつ妖しさ、哀しさ、恐ろしさなどの独特の雰囲気が 琵琶の弦のマイナーな響きにこんなにも合うのかと驚いた。 クライマックスでは、高まっていく情念を打ちつけるように、 2台の琵琶がユニゾンでテンポを上げ、クレッシェンドしていく。 鳥肌がたつような、音の奔流だった。 乾いた砂漠の町での倦怠感、焦燥感、暗い情念の風景が、 畳み掛けられる琵琶と語りによって、私の中にもどろりと流れ込んでくる。 原作は読んだことないけれど、とても興味をかきたてられ、 読んでみたくなった。 初めて見た琵琶の独創的な空間。 琵琶ひとつにもこんなにさまざまな可能性を見せてくれたことで、 なぜか私は元気をもらって、帰りは無性に歩きたくなって、 根津から上野駅まで弾むように歩いてしまった。 また次回は、どんな物語世界を見せてくれるだろう、 今から楽しみになった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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