テーマ:東京 / 江戸(1214)
カテゴリ:ウォーキング・旅
千駄木にある大正時代の邸宅、旧安田楠雄邸で Nちゃんの琵琶演奏会があるというので出かけました。 千駄木の駅から団子坂をのぼり、右へ曲がると 閑静な住宅街の中に旧安田邸はひっそりとありました。 立派な木の門。大正当時のままだそうです。 庭へ入ると、うっそうと茂る木々。 玄関で受付を済ませ、演奏会の前に安田邸の見学が始まります。 ボランティアの方が熱心に丁寧に説明してくれました。 これは玄関脇にある電話室。古めかしいですね! お客様用の大きな玄関の横には住人用の小さな玄関。 上に並んでいる家紋つきのカゴには、提灯が入っているそうです。 いわゆるすきま収納ですね。 襖に、繊細な藤の絵が金泥で描かれています。 唯一洋間である応接室。 日本家屋と違和感のないよう、入り口は竹の網代編みの天井になっています。 洋間、漆喰ぬりの天井。 応接室にはだんろがあります。家具は基本的にクルミ材を使用。 庭に面しているのはサンルーム。 ガラスもほぼすべて当時のものだそうです。 奥へ長く続く廊下。雁行型という細長い様式の建物だからだそうです。 廊下の右側はお客様用の畳、左側は家人用の板敷きと、 歩く場所が分かれているのには驚きました。 細い廊下。 廊下の途中に、こんな灯りと網代編みの天井が。 庭に突き出た廊下の角。私のお気に入りの場所です。 客間から庭をのぞみます。この庭は内観式という様式。 客間の畳は、備後表(びんごおもて)といって NHKの番組「美の壷」で取材を受けた実績のある、最高級の畳。 瀬戸波(せとなみ)というイグサを使っていますが、 残念ながら、このイグサを作れる名人が亡くなられたので、 このように高い質のものはもう作れないそうです。 午後の日差しに庭がきれいでした。 心が安らぎます・・・ 客間の向こうに茶の間があり、さらに奥へ進むと、台所。 天窓になっています。当時としては斬新!! さんさんと明るい台所は、奥様や使用人たちへの主人の心づかいを感じますね。 これは当時の冷蔵庫です!氷を入れて食べ物を冷やしたそうです。 化粧室の窓。向こう側はお風呂になっています。 木の薄い長押に彫られた透かし彫りが、なんとも言えず風情があります。 水たまりや水滴をかたどっているのでしょうか。 階段をのぼって2階へ。 琵琶演奏会の会場となる大部屋の床の間。 この前で琵琶演奏が行われます。 この部屋の畳は、案内係の方の説明でなるほどと思いましたが、 1階の客間のぴしっとした畳と違って、少々弾力のあるやわらかい畳で、 座ると足やお尻にしっくりなじんでくる畳でした。 ありとあらゆるところにまでこだわって 各々の部屋にあったしつらえをしていることに感心しました。 天井から変わった電灯が下がっています。 これも大正当時の鋳物でつくられた電灯です。 床の間脇の小さな部屋。 2階のベランダ。部屋との仕切りに御簾(みす)がかかっています。 これも当時の御簾で、品がよく涼しげでした。 とても素晴らしい邸宅でした! こうした古く、木でできていて、慈しみをもって長く住まわれた家というのは、 日本人の心と感性にしっくりきますね。 旧安田楠雄邸の一般公開やイベントについては 「たてもの応援団」のサイトに詳細がありますのでご参照ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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