カテゴリ:ウォーキング・旅
島武意海岸の次は、積丹半島の突端、神威(カムイ)岬へ向かいました。 気持ちのいいゆるいまっすぐな坂をのぼります。 草やススキが風に揺れ、やさしい空気。 やがて見えてくるのは女人禁制と掲げられた門。 その昔、ここは女人禁制だったそうです。 海自体も、ここより先は女性をのせて舟を出してはならなかったそうです。 門の向こうには、"チャレンカの小道"と呼ばれる細道が 岬の峰をはうように続いています。 プチ万里の長城気分です。 この日、峰の東側は風もなく海も穏やかだけど、 西側は風が強く、波も激しく打ち付けていました。 東側の湾には、絶え間ない波に洗われたせいなのか、面白い形に削られた岩。 西側の湾、風が強く厳しいけれど、美しい湾です。 突端にある白い灯台をさして風になぶられながら黙々と進みました。 上空には海猫がホバリングしています。 陽射しに照らされた海と、岬のシルエットの景色は、 思わずため息をついてしまう神々しさ! 神威岬の名の通り、と深く納得しました。 風になぶられながら陽射しに照り付けられながら 20分ほどうねうね歩いていくと、ようやく突端に着きました。 突端にある案内板。 岬の突端の先には、神威岩と小さな岩々が列をなして北の果てを形づくっています。 この海の向こうはロシア、ハバロフスク方面へ続いています。 がけの下、やはりここもシャコタンブルーの碧の海。 エメラルドのような美しさでした。 そうっとのぞきこんで写真を撮りました。 狭い突端の岩の上では、気を抜いたら風に吹き飛ばされそうです。 そして帰りはまたチャレンカの小道をつたって戻り、 女人禁制の門まで来ると、ほっとし、力が抜けました。 女人禁制の門がありがたくさえ思えました。 その昔、こんな道も手すりもない時代には、人は地にへばりつきながら ここまで来たことだろう、風になぶられ、危険と背中合わせに。 本当に地にへばりつきたいような気分になる。カムイ、神の領域。 すすきがゆれる景色。 駐車場へ戻る一本道の向こうに、青い峰。 まっすぐな道をくだっていくと、 おだやかな道沿いに草々はゆれ、午後の日差しはやさしく照り、 前方の遠くの山々はなんとも言えない優美でつややかな稜線を描き、 海はきらめき、私はそんな情景を写真におさめながら、 ふと木田金次郎などの画家や写真家が 北海道の大地の絵を描いたり写真を撮ったりしたくなる気持ちが 初めて実感としてわいてくるような、わかったような気がしました。 それは単なる観光写真とは異なって、この風景を愛撫するように愛で、 自分の内に取り込みたいという欲求、そのようなもののような気がする・・ 神威岬の突端への行き来は、1時間足らずの小さなトリップだけど、 まるで遠くへ運ばれたような感覚に陥ります。 やはり何か特別な領域なのかもしれません。 行ってよかった、と心から思える場所でした。 そしてこのあと、途中の温泉に寄って露天風呂を楽しみ、 いよいよ岩内の「木田金次郎美術館」へ向かいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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