カテゴリ:アート
六本木の国立新美術館で 「フェルメール~『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」を見た。 まず感じるのは、静かな明るさだ。 壁の白が美しい。非常に効果的。 女性の服の色、上着の黄色、腰に巻いた布の青、 影になったスカートの暗い落ち着いた赤がそれぞれに美しい。 上着は裏地が青なのだろうか、まくった袖は 青と、黄と青が透けて微妙な緑色をしている。 このわずかな緑色も、私にはとても美しく魅力的に映った。 安定感と鮮やかさ。 小物の描写の緻密さ。 牛乳つぼを支える左腕の確かな力強さと白さ。 緯度が高いため、冬は日照時間が短く、 夏は夜遅くまであかるいというオランダでは、 より日の光というものは意識されるのではないだろうか。 明るさを永遠の一点にピンでとめたような絵だ。 ぎちっと固く編み、しかし使い込んで少々やわらかくなったかご。 窓からの清潔な日の光。 思わず息をひそめて見つめてしまう、繊細な繊細なミルクのつくる筋。 すべてを支え、コントロールする左腕。 俳句のような端的さと広がり。 きらめいている。 もともとは壁には絵、床には洗濯かごなどのアイテムが描き込まれていたのを 塗りつぶした跡があるとのこと。 余分なものを排して壁の白の面積を大きくとったことで、 色彩が引き立ち、また同時に色彩が白と白の空間を引き立てている。 白は背景色でありながら、一番美しい色彩のようにも感じられた。 「フェルメール~『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」は、 12月17日で終了しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.02.14 21:45:40
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