カテゴリ:アート
11月11日、六本木の国立新美術館に 「モダン・アート,アメリカン ―珠玉のフィリップス・コレクション―」を見に行った。 ホッパーとジョージア・オキーフに会いに。 アメリカに置き忘れてきてしまったものに会いに。 ジョージア・オキーフ「ランチョス教会、No.2 ニューメキシコ」 青い空に、砂漠の中の教会。岩のかたまりのような教会。 どこが入り口なのか、構造さえよくわからない建物。 ちょっとシュールで、大きなソファのようにも見える淡い明るいベージュの建造物が 不思議な遠い懐かしささえ思い起こさせる。 オーガスタス・ヴィンセント・タック「熱望」 日本画に影響を受けたのではと思われるほど、抑えた色調なのに 「熱望」というタイトルとのギャップにまず興味をそそられる。 しかし飛び散っていく色を見ていると、 柔らかい中間色でありながら、次第に激しいものが感じられてくるから不思議だ。 山の風景のようであるのが、単なる一風景を超えて やがて地球そのものが躍動し、飛び散っていくような印象に。 マグマだった頃の地球の記憶を秘めているのかもしれない。 チャールズ・シーラー「摩天楼」 幾何学的な構成でニューヨークの街を描いている。 配色が心地よく美しい。かわいい。 エドワード・ホッパー「都会に近づく」 低いトンネル、そこに吸い込まれる幾本かの線路、 線路脇にはりつくように並ぶビル、わずかに見える空。 あたたかい色あいなのに、閉塞感を感じさせる。 ジェイコブ・ローレンス <<大移動シリーズ>>連作 アフリカ系黒人が群れをなして南から北へ移民していく様子を連作で描いている。 コーヒー色、ビリジアン、赤銅色、山吹色、そして水色。 奇妙な明るさと不穏な黒。配置と配色の妙。 単純化されたライン、小気味良いリズム。 希望とともに絶望を感じさせる。それでいてユーモアも感じる。 それぞれにつけられたタイトルもいい。 非常に興味深く、今回の収穫とも言える画家そして作品との出会いだった。 マーク・ロスコ「無題」 ロスコの大きな作品を期待していたが、思いのほか小さい作品だった。 しかしじっと見ていると大きさのいかんに関わらず、引き込まれていった。 言葉でなく、音楽的でもなく、物語も人間も自然もない。 もの。色。手ざわり。質感。 "存在する"というだけの安らかさ、がここに在る。 オレンジ色にレモンイエロー。 無造作にけむるようにかすれたそれぞれの輪郭。 それらをじっと見ていると、色にはいりこむ、色に包まれる。 その安らかさ、温度。 ロスコの色への信頼を感じられる。 ボストンのフィリップス・コレクションには、初のロスコ・ルームがあるという。 千葉のロスコ・ルームも素晴らしかったが、 ぜひフィリップス・コレクションのロスコ・ルームも見てみたいものだ。 スチュアート・デイヴィスらのキュビズム作品群の前を歩いていたら、 ふと踊るような足取りになり、何かわーーっと絵を描きたい衝動にかられた。 キュビズムはそんなに好きなわけではないのに、 何故か今回は明るさとパワーを感じられた。 久々に絵を見に行ってよかった。 パワーや安らかさをもらえて満足して六本木を後にした。 モダン・アート,アメリカン ―珠玉のフィリップス・コレクション― 詳細はこちら http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/american/index.html 2011年12月12日まで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.11.29 22:55:17
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