きょうは風の日。(その3)
(・・その2から続く)そして迎えた17:30。冷たい北風の止まぬディズニーシー、メディテレーニアンハーバー水域を囲む多くのゲストの前には、いつのまにか三人のメッセンジャーが姿を現していました。リドアイルでは、おそらくこのショーを夜間に上演するために特別に準備された照明がショーエリアをまるで円形劇場のように照らし出しました。冷たい海の底のようなリドアイル、スポットライトの輪の中に登場したクリスタルブルー氏は、ダンスや“シャイン・オン!”ポーズの指導を淡々と進めた後、東京ディズニーシーの物語を語り始めました。昨日の午前中ピアッツァトポリーノでクリスタルレッド氏の語りを聞いた時にも思いましたが(ショーは途中中断でしたけれど)、ショーの前のこの語りの雰囲気が1月13日以前のとは違っているために “シャイン・オン!”が始まる時は「クリスタル・ウィッシュ・ジャーニーのグランドフィナーレバージョンが始まる」というよりは 「以前のとは全く違う旅立ちのショーが始まる」というような ちょっとセンチメンタルな気持ちになります。ひょっとしたらそれは、メッセンジャー達が語り始める時に少しだけ聞こえてくる東京ディズニーシーのテーマ曲のせいなのかもしれませんけれどね。いよいよショーの本編が始まると、ピアッツァトポリーノで観ていた時にはステージに遮られてあまりよく見えなかった大きなコンパスを搭載した三隻の船の登場シーンも、リドアイルの私達がいた場所からはしっかりと捉えることができました。また、船を追う照明が水面に反射してきらきら輝く様子は 昼間の公演では決して見ることのできない光景です。いろいろと迷ったけれど、ハーバーの水域を見渡せるこの場所を鑑賞場所に定めて良かったなあ と思いました。ドナルドとデイジーが上陸するリドアイルが戴くブルーのクリスタルに託された願いは“友情”。その象徴なのでしょうか、この場所には ダッフィー、シェリーメイ、ジェラトーニの三人(?)が揃って滞在する時間が比較的長いようです。(以前のバージョンをリドアイルで観たことがないので、以前からこうなのか“シャイン・オン!”になってからこうなったのか は ちょっとわからないのですが。)強風だから多分省略されてしまうだろう と諦めていた凧も四連ながらも夜空を駆け回り・・クライマックスでは東京ディズニーシーのテーマ曲とともにミッキー形に変化したコンパス船から無数のシャボン玉も出現し、ハーバー中から歓声があがっていたようでした。リドアイルのショーエリアにはミッキーやミニーがやってくることはありませんでしたが、ショーの最後にハーバーから去って行く際にはリドアイルのゲストに向けて一生懸命手を振ってくれましたよ。ミッキーもミニーもプルートも もう 全身を使って大サービスです。強い風に耐えながらハーバーを囲んでいた皆さんにとっては、彼らが溌剌として未来へと旅立っていく姿が観られたことが今夜一番の贈り物だったと思います。ショーがエンディングに向かう時に感じる 東京ディズニーシー15周年おめでとう! と心から拍手を送りたくなるような清々しさは、「クリスタル・ウィッシュ・ジャーニー」の1月13日以前のバージョンではそんなに強く感じられなかった フィナーレバージョンならでは のものだと思います。厳しい北風の中、待っていた甲斐がありました。ディズニーシーの大きな節目にあたっての新たな出発をこうして見守ることができて 今夜は本当に幸せでした。赤青緑の三隻の船と大きな「15」のマークのクリスタル船がハーバーから完全に消えるまで見送ると 時刻は18:05。吹き荒れていた北風は、ショーが行われている30分の間にかなり収まっていました。これくらいの風の吹き方ならこの後18:45からドックサイドステージで予定されている「テーブル・イズ・ウェイティング」最終回も上演できるのではないか と思った私達は、リドアイルの橋の上を離れてアメリカンウォーターフロント方面へと向かいました。本日は 私達も鑑賞した朝方の初回こそ強風バージョンで上演されたものの、その後の回は風の影響で中止や中断ばかりだったテーブル・イズ・ウェイティング。土曜日の今日、最終回の開始まで40分を切ったタイミングではもう席もそんなに残っていないのではないかー?と思いつつステージ前に行くと、後方やサイドブロックならばまだまだ席はたくさんありました。私達の後ろには 同じように考えてドックサイドステージ目指して急ぎ足でやってきている多くのゲストがいらしたようで、キャストさんが大きな声で「お席はまだまだたくさんございまーす! 走らずゆっくりで大丈夫でーす!」と案内していらっしゃいましたよ。それからショーが始まるまでの30分ほどはあっという間に経ちました。私達は鑑賞席のサイドブロックから本日最後の、そして私達にとっても本当に最後の最後となる「テーブル・イズ・ウェイティング」を観ました。元々は、2008年の秋にディズニーシーで開催された“世界の食の旅”をテーマにしたスペシャルイベント「ディズニー・ア・ラ・カルト」で二か月間だけの期間限定で上演されたこの「テーブル・イズ・ウェイティング」。可愛くてきれいな衣装や色彩豊かなステージや親しみやすい音楽や演出など心ひきつけられる要素が満載で、特に難しいことを何も考えなくても ディズニー映画やディズニーキャラクターを知らなくても、たまたま通りかかっただけでも、誰もが足を止めて楽しむことができる貴重なショーだったと思います。このショーの上演が3月17日に終了した後 ドックサイドステージでは新しいエンターテイメントが行われることが既に決まっているようですが、そちらもぜひ 万人の心を明るくしてくれるようなものであることを願いたいです。ショー終了後はマクダックス・デパートメントストアやエンポーリオ、イル・ポスティーノ・ステーショナリーなどを回ってお買い物をしました。きょうは土曜日ということもあり、日中はダッフィー関連商品を扱うショップは混雑していて入店制限をしていたようでしたが、この時間(19:30頃)はどこのお店も普通に入ることができました。お買い物の最後にヴィラ・ドナルド・ホームショップで15周年グランドフィナーレのデザインのスーベニアメダルを作成した後は、ポンテヴェッキオから階段を少し下りて リドアイルの裏にあたる場所で20:30の花火を観ました。きょう一日あんなに風が吹き荒れてパーク内はショー中止ばかりで大変だったというのに、この時間の空は不思議なほど穏やかで、冷たい夜の空気の中で弾ける花火は光が研ぎ澄まされたようでとても綺麗でした。その後私達はPSしてあったレストラン櫻へ行き、夕食をとりました。夫はステーキ重、私は季節のうどん膳(きょうは鍋焼きうどんでした)という、私達が真冬にパークに宿泊しにきて帰る前に食べる御飯としてはもはや定番となった感のあるメニューを注文し、美味しくいただきました。レストラン櫻を出て、ホテルミラコスタのベルデスクへ行って 預けた荷物を正面玄関まで回しておいてくれるようお願いしたのは21:40頃でした。名前を告げたあと部屋番号を尋ねられ、部屋番号を記憶する習慣のあまりない私達が答えあぐねて「えーっと4階のこっち側の一番奥のダブルベッドの・・」とバッグの中のカードキーケースを探していると、「・・窓が2面あって 入って左手の窓からタワーオブテラー、正面の窓から水面と火山が見える素敵なお部屋ですね!」と キャストさんがぴたりと言い当てられたのは、ホテルが仕事場の方としては当然のことなのでしょうけれど 少々驚きました。その上、夜ももう遅い時間だというのに 私達が今回宿泊したお部屋の魅力を一緒になって楽しそうに語って賞賛してくださり、旅の終わりにキャストさんの明るい笑顔を拝見できて 私はとても嬉しかったです。どんなに遊び疲れていたって、もう帰らなきゃいけないという少し寂しい気持ちになっていたって、「心からの笑顔」を見て嫌な気持ちになる人なんてこの世の中にひとりもいないでしょう。他のホテルに無くて このホテルにはあるもの。それは 夜になってもこうしてロビーにいらっしゃる多くのキャストさん達の屈託のない親しみやすい笑顔と 「ゲストと喜びを共有したい」というまっすぐな気持ちだな と、あらためてそう思いましたよ。ホテル正面に車をつけ ドアサービスキャストさんに荷物を積み込んでいただいて、こちらもまたこの上なく爽やかな笑顔で見送っていただいて、私達がホテルミラコスタをあとにしたのは22時少し前でした。パーク閉園時間と重なったため 坂を滑り降りて合流したリゾート内道路はなかなかの混雑ぶりでしたが、それでも雨風に振り回されつつも楽しかったパークとホテルの余韻が私達の心の中から消えることはありませんでした。また来たい。 いや、きっとすぐにまた来る。口を開けばそんな言葉ばかりがついついこぼれそうになる いつも通りの帰り道でした。(おしまい)◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ 文中に登場する、ディズニーリゾート内の固有名詞(ホテル・レストラン・ショップ・場所などの呼び名)については「東京ディズニーリゾート」の公式サイトをあわせてご覧いただくと、いくらかイメージしやすいか、と思います。利用なさってみてください。◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇