最上級の笑顔を。(その3)
(…その2から続く)「ホテル&パーク・ゲートウェイ」からディズニーシーに再入園したのは 12:00をほんの少し過ぎた頃でした。今日は夫が目を覚ましてからというもの(というか昨夜からずーっとですが)、私達は「今日はディズニーシーで何しようか?何かしたいことがある?行きたいところがある?」ということばかり話していました。夫に「何か見ておきたいものはないの?」と問うても、 ボクはあなたの笑顔がみたいです…というお決まりの突っ込みたくなるようなお上手しか言いません。(注:こういうとき実際には夫はもっと違う表現をするのですが、恥ずかしくてとてもそのままは書けないので一般化して書いています)あなたの方こそどうなのよ?と夫から聞き返されても、本当におかしなことなのですが、私もこれといって思いつくことが無いのです。…だって、昨日のうちに ファッショナブル・イースターもビッグバンドビートも観られたし、予定通りマゼランズも行けたし、記念写真も撮れたし、櫻のテラスでビールもできちゃったし スチーマーラインにも乗れちゃったし…ディズニーシーに行ってできたらいいなあ~と漠然と夢に描いていた楽しそうなことはほぼ全てできてしまったんですものね~それにだいたいね、滞在二日目の午前中の時点で「これから何したらもっと楽しいかな?」と二人で一生けんめい考えているというこの状況こそが「楽しいことだけ考えて過ごす」という 私達のこの二日間での大目標が達成された証拠じゃありませんかー?だから もういいのです。この数週間というもの、私達はふたりとも時間的にも精神的にもあまり余裕のない日々が続き、「ずーっと繰り返してきたこの時期の宿泊だけれど 今年はもう時間を作って舞浜に出かけるのは難しいんじゃないか? 計画も立てないで下調べもできないまま泊まりに行っても楽しめないんじゃないか?」という状態に一時は(私だけかもしれないけれど)陥っていたのですからね。楽しいことだけ考えよう!という気持ちのまま無事に宿泊二日目を迎えられただけで あとはもう何もしなくても。ただただ 二人してディズニーシーの中にいる ということが 今は私達の幸せなのかもしれません。…とはいえ、目的地のない壮大なお散歩というのは疲れるものです。――すっごーくちっちゃーいことでもいいから、何かやりたいこと ない?そんなふうに夫に言われて、私がなんとか思いついたのは、「サルタンズオアシスに行ってソフトクリームを食べる」 ということでした。(笑わないでくださいね~)ソフトクリームは、私の大好きな食べ物のひとつです。そしてディズニーシーでソフトクリームを食べることができるのは、今となっては プロメテウス火山を通り抜けた先にあるアラビアンコーストの「サルタンズ・オアシス」だけなのです。―― サルタンズオアシスか~ 行って食べて帰ってくるだけでも一時間はかかるな! よし!何が よし! なんだかよくわかりませんが、とりあえずお散歩の目標がひとつ定まったので、夫は嬉しそうでした。でも、ソフトクリームのその前に。ひょっとして「ビッグバンドビート」の初回 間に合うんじゃない?時刻はこの時12:05、本日のビッグバンドビートの 抽選無しで観られる初回公演の設定は「12:40」からとなっています。――昨日は初回が「12:20」だったけどこれくらいのタイミングで行っても席がたくさんあったから、今日も もしかしたらまだ席があるんじゃない?(今日は土曜日だから難しいかもしれないけど。)そう考えた私達は、とりあえずまずブロードウェイミュージックシアターに向かってみることにしました。約5分後シアター前に到着すると、12:40の回への入場待ち列はロープの中で二回折り返すほどの長さになっていましたが、まだまだ定員に達するまでは時間がかかりそうな気配でした。それからさらに5分くらい経って12:15になると入場が始まり、私達は なんと昨日座ったのとほぼ同じ位置(同じ列で横に1~2席ずれたくらい)の座席を確保することができました。昨日は開演の15分前に並んで 今日は開演の30分前に並んで。それでも得た席がほぼ同じということは 今日の方がややパークもこのシアターも混雑しているということになるのでしょうけれど、まあ連休初日の土曜日のわりには今日のパークは空いているってことだよなー と 私達は状況を認識しましたよ。さて、ショー開始直前には2階席までほぼ満席になった「ビッグバンドビート」初回は今日もとても素晴らしく、私達の満足感はここでまたまた高まりました。シアターから出た後は、青空の下ウォーターフロントパークをそぞろ歩き、その後はメディテレーニアンハーバーに戻ってエンポーリオ前のフォトロケーションにできていた撮影待ちの列に並んでカメラマンさんに写真を撮っていただきました。(13:30頃、15分待ちでした。)撮影終了後はハーバーを右方向に歩いてまっすぐ「ソフトクリーム」に向かおうかと思いましたが、まもなく「ハピエストセレブレーション・オン・ザ・シー」が始まるというのでザンビーニブラザーズ・リストランテ前でちょっとストップ。空いていた柵沿いの場所から14:00の「ご挨拶」を見ました。キャラクター達をのせた「35」マークの大きな船。登場の際は陸地に近いところをゆっくり航行するのですね~長時間場所確保しなくても、直前にその場で立ち止まってもそれなりにキャラクター達の姿が見られちゃう。「ご挨拶」ですから時間は短いですが、これは満足度高いです。やっぱり私、こういうのも結構好きかもしれないです。「ハピエストセレブレーション・オン・ザ・シー」が終わり、大きな船が水上から去って、時刻は14:10。すぐ近くのスチーマーライン乗り場では 入口に張られていたロープが外され、一時的に取りやめていたゲストの乗り場への案内が再開されたようでした。(水上ショーがある時などはスチーマーラインの運営は一時停止になりますからね~)このあとは本日の小目標「ソフトクリーム」のためにアラビアンコーストまで歩こうと考えていた私達でしたが、「ロストリバーデルタまで船に乗って そこからアラビアンコーストまで歩けばいいんだ!」と気づいてスチーマーラインを利用することにしました。運航再開後の一番目の船に乗り、ロストリバーデルタの船着場に到着したのは14:30。そこからアラビアンコーストまでゆっくり歩いて サルタンズオアシスで念願のソフトクリームを購入できたのは14:40過ぎのことでした。その後は、せっかくはるばるアラビアまで来たのだからアトラクションでも行っときましょう と「マジックランプシアター」へ。この時間(15:00前頃)スタンバイは55分待ち表示になっていましたが、「15:35~16:35」指定のFPを発券していたのでそちらを取得しました。取得してからふと思ったのですが、「私達、マジックランプシアターのFPを取ったのってかなり久しぶりじゃない…?」というわけで記念に写真を↓↓撮ってしまいましたよー指定時間が来るまでの間は 5分待ちだった「シンドバッド・ストーリーブックヴォヤッジ」に行って過ごしました。荒波を乗り越えて冒険を終え 外に出ると、アラビアの街の先にちょこんと頭をのぞかせるプロメテウス火山。 これもまた私の好きな風景の一つです。(まあ、パーク内のどこからでも火山が見えさえすれば それはもれなく私の好きな風景になっちゃうんですけれどねー)そしてFP指定時刻がやってきたので「マジックランプシアター」へ。安定の話芸とマジックを楽しんで、外に出ると時刻は16:00になっていました。それからは、火山の中を通り抜け、ショップに立ち寄ったりしながらメディテレーニアンハーバーの抽選所「ビリエッテリーア」へ。ビッグバンドビートの座席抽選にチャレンジしましたが席は得られず、「昨日今日と2回も観られているんだからもういいよね」とわりとあっさりと諦めがついた私達は、シアターの2階席入場列に並ぶこともせずハーバーで開催中だったファッショナブル・イースターを横目で見ながらミラコスタ通りへと向かいました。ショー開催中だけあって比較的ゲストの少なかったミラコスタ通り入口あたりで写真を撮り、さきほどエンポーリオ前で撮影していただいた写真をフォトグラフィカ(こちらのお店もこの時間は空いていました)で購入したあとは、ディズニーシープラザの石垣に腰をおろして ミラコスタ通り越しにハーバーショーが展開していく様子を眺めながらちょっと一息つきました。さて、このあたりで私達は再び この後どうするか?問題に直面することとなりました。夫が、 いっぱい寝てよく休んだはずなのになんかちょっと疲れてきた どこかでお茶でも飲んでしっかり休もう とか言い出したのです。ちょっと疲れてきたのは私も同じだったので、私は昨夜から考えていたことを夫に提案してみました。――じゅうぶん楽しかったから、予定を早めてもう帰っちゃってもいいのよ夕食のPSを一応押さえてはあるけれど、それだって店頭に直接出向いてキャンセルすればいいのだし ね。が、夫は、今の疲労感のままだとあなたが安心して助手席に乗っていられるような運転で帰る自信がないなあ… などとつぶやきます。あらそう。こんなことならやっぱり「チェックアウトして即帰宅」にするか、今日の夜も部屋を取っておけばよかったわねえ… やっぱり私達ももういい歳だから、二日間ディズニーシーにどっぷり浸かるなら二晩分のベッドが必要なのかもねえ…などと話していたら、私は急に思いつきました。――あなた、車の中でちょっと眠ればいいんじゃない?私達は早朝からディズニーシーに遊びに来て閉園時間頃までいる ってことは数年に一回くらいしかしないけど、そういう時って必ず 午後から夕方にかけて駐車場の車に戻って2~3時間仮眠をとるじゃない?それとおんなじよー! そうしましょう!というわけで、急転直下、私達はディズニーシープラザを離れて一旦退園するためにノース側のパークゲートを出て、ホテルミラコスタの駐車場に向かったのでした。(今回停めていたのがパークから近いホテル1階の場所で本当に良かったです。)17:00少し前のことでした。「だいたいのことは寝れば治る」が口癖の、睡眠大好きな夫が元気に復活した時には、時刻は18:45頃になっていました。あーよく寝た。のど乾いた。よし!パークへ行くぞ!…とやる気満々の夫とともにホテルミラコスタ駐車場を出て宴会場側の美しい廊下を通り抜け、ホテル&パーク・ゲートウェイからディズニーシーに入園したのは19:00くらいだったと思います。(外が暗くなってからこの廊下をロビーに向かって歩くというのは 私にとっては珍しい経験でした)――なんかこう スカーッと目が覚めるアトラクションに行きたいなーと夫が言うので、タワーオブテラーとか? と聞き返すと、――タートル・トーク行こう! タートル・トーク!…まあそうですね。たっぷり笑えばまだ少し残る眠気も吹っ飛ぶかもしれません。それに、ホテル&パーク・ゲートウェイを通って本日何度目かの再入園を果たして出たピアッツァトポリーノにはこの時間、20:00からの「ファンタズミック!」を待つゲストが続々と集まってきていたようでしたし、ハーバー水域周り以外の場所は大人気アトラクションを除けば空いてくる時間帯かもしれませんよね。そんなことを話しながらアメリカンウォーターフロントに向かうと、この時間のホレイショスクウェアあたりは予想通りの人の少なさでした。のどが渇いたー とずっと訴えていた夫は、公園沿いのドリンクワゴンに駆け寄ってコーラを購入。一気に飲み干した後、タートルトークへの入口に行きました。キャストさんの案内通り「待ち時間30分」プラス少々でクラッシュに会い、絶妙なゲストとのやりとりに涙が出ちゃうほど笑って 外に出たのは20:15頃。ウォーターストリートの緩やかな上り坂の向こうのハーバーではちょうど「ファンタズミック!」が佳境にさしかかっていました。私達はそれから、ゲストのいないホレイショスクウェアで キャストさん総出で「客待ち」状態だったビッグシティ・ヴィークルのニューヨーク周遊コースに乗ってみることにしました。現在、通常版の「ニューヨーク周遊コース」は、ホレイショスクウェアの波止場側にある乗り場から出発してウォーターストリートをハーバー方面へと上り、マクダックスプラザに沿って鋭角に曲がってブロードウェイを下り、ニューヨークデリ前を通り過ぎたところで右に曲がってデランシーストリートに入り、ホレイショスクウェアをぐるっと回って帰ってくる という行程になっています。が、キャストさんによれば、「ファンタズミック!」開催時間帯はハーバー方面の路上がごった返していて通行するのが困難なため コースを変更して運行しているとのことでした。では、この時間帯限定のコースというのは……出発してすぐデランシーストリートに入り 突き当たりを右に曲がってブロードウェイミュージックシアター前から光り輝くトイビルトロリーパーク(トイストーリマニアのある場所)ゲート前を通り、右に曲がってパークアベニューを進み 妖しい光に照らされているタワーオブテラーと瀟洒なS.S.コロンビア号の前を通り過ぎて プロメテウス火山を前方に見ながらホレイショスクウェアに戻ってくる… …という ニューヨークのスペシャルな夜景を楽しめるこの時間ならではの内容になっていて とてもとても素敵でしたよ~ふたりで貸切となった優雅な夜景巡りを終えてヴィークルをおりると時刻は20:30。あたりには「20:30の花火は中止になった」旨のアナウンスが流れていました。花火が無いのなら と、私達はここでディズニーシーのパークに別れを告げて、夕食の予約をしていたホテルミラコスタ「シルクロードガーデン」に向かうことにしました。予約時刻よりも早くに店頭を訪れたにもかかわらず、シルクロードガーデンの皆さんは私達を快く迎えてくださいました。土曜の夜でしたが、きっと運よくテーブルに余裕があったのかもしれませんね。白いクロスのかけられた広々としたテーブルで、私達は「五目あんかけつゆそば」と「牛フィレ肉の石焼炒飯」をふたりで取り分けながら 舞浜での今滞在中最後となるお食事をしました。注文の際にもう一品 野菜多めの料理を追加しようか迷って結局やめたのですが、つゆそばには季節の野菜がいっぱい使われていたので、 この二品でじゅうぶん! これで正解だったわね~ って思いましたよー食後のお茶もいただいて、シルクロードガーデンを出たのは21:35頃でした。ロビーで少々帰り支度を整えた後、私達はベルデスクで名前を告げました。キャストさんはすぐに お車でご出発ですね! 玄関にお荷物をご用意してお待ちいたしますので、お車をお回しくださったらこちら(荷物の控)をドアマンにお渡しください と、まるでいつもの私達の帰り際の様子を知り尽くしているかのように 穏やかに且つ親しみ深く案内してくださいましたので、私達はただ笑顔を二、三度返しただけで なんの説明も要請もすることなくことは済んでしまいました。いつもなら、荷物を預ける際にサービスホットラインに電話して荷物の数や内容や出発時間や帰りの交通手段などこまごまと伝えてあるので「これくらい当たり前」の対応といえるかもしれませんが、きょうは夫がうっかりしていたせいで 荷物預かりの全ての手続きをサローネ・デッラミーコのキャストさんに口頭で雑に「丸投げ」してきてしまっていたので、それでもなんの滞りも無くいつも通りにベルデスクでのやり取りが終わったことに ちょっとだけ感心しましたよ。駐車場からホテル正面玄関へと車を走らせて いつものように荷物を積み込んでいただき、これまたいつものように女性ドアサービスキャストさんと軽い冗談を交わした夫が笑顔のまま運転席に乗り込んできたのは21:55頃でした。ロータリーを回りきってスロープにさしかかる前に、夫は車の窓を開けてドアサービスキャストさんに向けて手を振りました。そうして 私達の車は舞浜の丘から現実の世界へ、首都高速道路へと流れ入りました。帰宅した後、私達の小さなコンパクトデジタルカメラに残る画像を見ていて、たくさんの風景写真やショーの写真やふたりで撮った記念写真の中に、撮られた記憶のない思いがけない画像がいくつもいくつも混じっているのに私は気づきました。ゲストの少なくなった朝のベッラヴィスタラウンジで、キャストさん達と一緒に天井の葡萄棚を見上げる私の写真です。まったく いつの間に。どうやってこんな写真を撮っていたんだか…そして、――夫がいつも冗談のように繰り出す例のお得意の「お上手」は、ひょっとしたら決してお上手などではないのかもしれないなしたいことが無くても、行きたいところが無くても、疲れていて眠くても。できるだけ長い時間ディズニーシーとホテルミラコスタに留まりたいといつも夫が願うのは、そこでしか見られないものがあることを ちゃーんと解っているからなのかもしれないなー と 私はそう思ったのでした。(おわり)◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ 文中に登場する、ディズニーリゾート内の固有名詞(ホテル・レストラン・ショップ・場所などの呼び名)については 「東京ディズニーリゾート」の公式サイト をあわせてご覧いただくと、いくらかイメージしやすいか、と思います。利用なさってみてください。◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇