語り継がれる。(その2 ~“フェスティバル・オブ・ミスティーク”など)
(…その1から続く)いつかどこかで聴いた憶えがあるような懐かしい音楽が流れるメディテレーニアンハーバー一帯では、なんだか妖しい雰囲気の女性が指揮を執る中、陸上の三ヵ所を中心に昔々この港町で行われていた伝説のハロウィーンの祝祭を模したという仮装ダンスパーティーが始まっていました。そんな中 水上に現れた特徴ある船に乗っていたのは、やっぱりミッキー。続いて各キャラクター達もちょっと風変わりなそれぞれの船に乗って登場します。ミニー、デイジー、クラリスは三人一緒にプルートをお伴にメタリックピンクの船に乗ってきました。彼女たちの船には、ホテルミラコスタ正面玄関に鎮座する噴水にも見られるような大きな魚のモチーフがあしらわれていました。ドナルドの船には 大きなタコの姿がありましたよ。他にも、チップ&デールの船にはウミガメ、グーフィーの船にはタツノオトシゴのモチーフが取り付けられており、メタリックな素材感と海の生き物の組み合わせがいかにも近未来的というか、「伝統的な海の祝祭を古い記録をもとに『AI』を使って復活させたらこんな船ができちゃった」という感じでした。さすが 時空を軽々と飛び越えてしまうテーマパーク「ディズニーシー」らしいなあ… と私は少しくすぐったいような気持ちになりましたよ。ところで。キャラクター達を招いて始まった海のハロウィーンパーティーは、祝祭を執り仕切る女性の美しい歌声に惹きつけられるようにして街全体が踊り出したものの、その激しいダンスはどこか攻撃的で ポルトパラディーゾの港は徐々になんともいえない不穏な空気に包まれていきます。ミッキーなど男の子キャラクター達は 楽しいっ!最高! とノリノリのご様子ですが、ミニーさんやプルートはその光景を見て「何か変」と危険を察知し、船をいったん沖に出すことを決断します。(ショーの途中でミニーさんの船一艘だけが踵を返すようにして本当に猛スピードでハーバー水上からいなくなってしまったので、私は『びっくり!!』でしたよ~)しかしその後、ハーバーの水上はミニーさんの心配した通り、大変な事態に陥っていきます。水面からは大きな水柱が立ちのぼり、船からは炎が噴き上がり…実は祝祭を取り仕切っていた三人の女性たちは、太古の昔から海に棲み美しい歌声で船乗りを惑わし破滅させるという伝説の海の魔女「セイレーン」の末裔で、その魔力を使って海の魔王を復活させようと企ているということが明らかになるのです。ミッキーも船上で、捕らわれの身となってしまいます。古代より美しく平和だったはずのポルトパラディーゾの港町。ヴィランズや海賊に続き 今年2019年の秋は海の魔王にも蹂躙されてしまうのか… と古くからの(私達のような世代の)ディズニーシーファンのゲストがため息をつきそうになったその時。「ちょっと待って!!」というミニーの声が聞こえたかと思うと、…~listen to the sea!(海を聴け!)~あの懐かしい「ポルトパラディーゾ・ウォーターカーニバル」の中のメロディーがファンファーレのように響き渡り、いったんは沖に出たメタリックピンクの船がまたまた高速でハーバーに戻ってきました。(注:「ポルトパラディーゾ・ウォーターカーニバル」とは、ご存知かと思いますが 2001年9月のディズニーシーグランドオープンから4年8ヶ月の間、ハーバーで行われていたお昼のレギュラーショーのことです)メディテレーニアンハーバー水上で水や炎が暴れ セイレーンの末裔たちが港町の住人たちに「魔王を復活させるダンス」を踊るようにと煽る中、勇敢なるミニーは 昔々この港町がポルトパラディーゾ(パラダイスの港)と名前を授かったその時以来、海の魔王など消えたはずだ! と人々を説得します。さらには、 もっと明るく楽しいハロウィーンパーティーを と、昔からこの町の人々が好むような誰にでも踊れる平和なのんびりとしたダンスを一緒に踊るように促します。このミニーの再登場でまさに陰と陽の対決状態になっていくメディテレーニアンハーバー一帯。しばらくしてそんな事態もめでたく収束し、今日のところは陽のパワーが陰のパワーを若干上回って(束の間かもしれませんが)、ポルトパラディーゾの港町には平和がもどってきたようでした。平和が戻ったピアッツァトポリーノで、ポルトパラディーゾ、ダニエラ姫の伝説を 昔語られていたのと同じような語り口で滔々と(自ら?)語ってしまうミニーさん。祝祭の最後は やはり「パラダイスの港」ポルトパラディーゾらしく みんなで仲良く踊れる楽しいダンスですよね~約30分間のショーが終了し、ディズニーシー開園当初の長閑だったパークを懐かしみながら 私が店内に戻ったのは14:30頃。テーブルの上では、マエストロ・ミッキーならぬナプキンミッキーが待っていてくれました。その後 食事をすべて終えてオチェーアノを出た私は、ミッキランジェロギフトに立ち寄ってホテルミラコスタをあとにしました。15:30頃のことでした。思いがけず、懐かしい「ポルトパラディーゾ・ウォーターカーニバル」の片鱗に触れてしまった平日の午後。「昔のできごと」とは不思議なもので、たとえ同じ事実を見聞きした経験があったとしても、その場に臨んでいた一人一人の心の持ちようによって その人の記憶の中では「他の人が識っているのとは断じて違う 唯一無二のできごと」として心に刻まれていくものです。きょうわたしが「フェスティバル・オブ・ミスティーク」の中に見つけたディズニーシー開園当初の思い出は、このショーを考え作った人たちが抱く思い出とはまったく違うものかもしれないけれど。それでも、この場所を日々作っている方々や保ち続けている方々の心の中に、この場所が誕生した頃の熱い魂が目に見えないくらい小さなカケラとなってでも引き継がれ残っていることに気付き、私は心の奥底でほんのちょっとだけ嬉しく思いました。JR舞浜駅の改札を入り、私がひとり帰路についたのはもう16:00も過ぎたころ。帰宅した私がすぐにリビングの棚から「ポルトパラディーゾ・ウォーターカーニバル」の音源を探し出し、久しぶりに聴いてみたことは、今さら言うまでもありませんよね!* オチェーアノ の “ディズニー・ハロウィーン”ランチコース *・イベリコ豚チョリソーの小さなキッシュ・秋刀魚とピキージョのテリーヌ 大葉香るジェノヴァソース・イトヨリ鯛のポワレ ヒヨコ豆のピュレとデュカスパイス・仔羊肉のロースト ピカントソース 茄子のシェリーヴィネガーマリネ (別途¥1,000加算で「牛フィレ肉のグリル ビーフのジュ キノコと牛蒡のグランメール仕立て」に変更可)・スフレチーズと南瓜のクレープ 葡萄のソルベ・コーヒーまたは紅茶 ・・・・・・・2019年9月2日~10月31日 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇文中に登場する、ディズニーリゾート内の固有名詞(ホテル・レストラン・ショップ・場所などの呼び名)については 「東京ディズニーリゾート」の公式サイト をあわせてご覧いただくと、いくらかイメージしやすいか、と思います。利用なさってみてください。◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇○東京ディズニーリゾートR特集○