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カテゴリ:おバカな話
デートについて
デートについて語ろう。 それは、秋頃のこと。 「ねぇねぇ、相談なんだけどさ」 と中二のO野くんが言うのだ。 「こんど、デートをするんだよ」 と、ニヤケながらそう言うではないか。 O野くんは、モテモテタイプではなく、中二になっていまだにポケモンに熱中してたりするナイスガイだ。 あまり女性に縁があるタイプとも思われない。 おれが塾で生徒を教えているなかで、一番気の合うヤツだったんだが、それはつまり、どこかおかしいということでしかないのだった。 そのO野が、デートだと。 まぁなんだ。 O野というのが実はぜんぜん仮名になっていないという事実はこの際おいといて、デートである。 「で、ますますにデートの極意をきこうと、ね」 おれにデートコースを設定してもらおうというのが、すでに大間違いなのだが、それでも彼らよりは多少の経験はある。話をきこうじゃないの、とひたいをつき合わせて相談をうけたのである。 「で、どんなかんじのデートコースを考えているんだ?」 と質問すると、 「サンクスいって、買い物して、チャリンコでぶらぶらして…」 などと抜かしやがる。 それは、デートではないだろう。 ふつうの下校時の、なんもすることないときの行動パターンでしかない。そんなデートは、認めん。 「もっとほかに、オシャレでぐっとくるアイデアないんかい?」 ときくと、 「うーん」 と考え込む。 「ジャスコに行こうかなぁ」 オシャレでぐっとくるジャスコってのも、なかなかないだろうと思ったのだが、話をきいてるとなんだかほほえましくなってしまって、『ジャスコかよ』と思いつつも、 「いや、いいんじゃないの」 と無責任なことをいっていた。 だってなぁ、デートでジャスコて、そんな牧歌的な時代、いつの話だってもんじゃないですか。おれなんぞがアドバイスするのもおこがましい。それはそれで、いいんじゃないかと思ったのだよ。 映画にいけとか、カラオケでバラード歌えとかそんなアドバイスしてる場合じゃないでしょう。 O野は言う。 ジャスコがだめなら、ダイエーだと言う。 その心意気こそが、ブラボーだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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