カテゴリ:考古学・日本古代史
≪ 縄文の形と祈り2 ~新潟県立歴史博物館の展示から~ ≫
縄文時代の遺物には、驚くような形のものが多い。今日も不思議な「作品」を紹介しよう。 青龍刀型石器 これは形状から青龍刀型石器と呼ばれているが、何に使われたのかは分からない。私は宗教儀式用だと考えている。 御物石器 これも何のための物かは不明。形が珍しいため、明治時代に同じような形状のものが宮中に贈られたことから「御物石器」と呼ばれる。 土偶 土偶には違いないが、一体何なのだろう。説明板には「動物云々」とあるが、実に不思議な形だ。 石版 これらは石に彫刻を施したもので、「石版」(せきばん)と呼ばれている。上の2つは目があり人物像のようだが、強い呪術性を感じる遺物だ。南米大陸アステカ文化の彫刻にもどこか似ている感じがする。 土偶 これらの土偶には乳房があるので、女性像だと考えられる。 女性器を象ったもので、豊穣と多産を祈ったと考えられる。 石棒 これらは石棒と呼ばれているが、男性器そのものだ。中には炉端に立てられたものもあったようだ。平均寿命が30歳以下(一説によれば27歳とか)である縄文人にとって、男女のシンボルを祀る行為は生命の再生と子孫の繁栄を願う神聖で切実なものだったろう。 王冠型石器 これは王冠型石器と呼ばれるが、やはり男性器を模したものだろう。チベット仏教の歓喜仏は男女の和合そのものの姿だし、インド仏教(本来はヒンズー教)の歓喜天も同じ思想に基づくもの。ヒンズー教のご神体であるリンガは男性器の形状。このような性器崇拝は時代と地域を超えて、豊穣、多産、子孫の繁栄、生命の再生を願う人類共通の願いなのだ。 我が国の道祖神は本来性にまつわる素朴な信仰だが、明治新政府によって卑猥なものとして外国人の目に触れないよう、「無難なもの」を除き大部分が破壊された。それでも「本来」の石像が各地に幾つか散見される。 さて、博物館の展示の紹介が長く続いたが、明日からは通常の旅日記に戻る。「雪国の暮らし」の残りは、来年の正月にでも掲載したい。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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