マックス爺のエッセイ風日記

　私は今とても喜んでいる。もちろんマー君の大リーグ行きが決まりそうなことでも、猪瀬氏が東京都知事を辞めたことでも、小笠原諸島の新島が西之島とひっついたことでもない。沖縄県名護市の辺野古沖の埋め立てが、本日沖縄県において正式に承認されたことだ。

　この件に関して、沖縄県民の中に強い反対の意見があることは承知している。だが老朽化して危険と言われる普天間基地を、短期間に移転するどんな方法が他にあるというのだろう。１７年前に辺野古移転が決まっていたのを、「最低でも県外」との鳩山元総理の何の裏付けもない無責任公約で事態が大きく変わった。






　沖縄本島の西海岸にある名護市の中心部とは違って、辺野古集落は東海岸の過疎地帯に位置し、米軍基地との長い協力関係が築かれて来た。そして移転問題に関しても賛成する住民が多いのだ。もし普天間基地を県外に移転しようとしたら何十年経っても実現は不可能だろう。本土であれだけの規模の基地を受け入れてくれる地域を探すのは至難の業だと思う。






　日本の近隣には、３つの困った国がある。国防は国家の重要な機能の一つだが、特に最近の国際状況に鑑みれば、沖縄に米軍基地があることの意味は大きい。それとも米軍基地の存在に反対する理由は何だろう。これまでの経緯を見れば、第２次安倍内閣が払った努力は並大抵のものではなかったと思う。自民党沖縄県連所属の国会議員を説得し、全員を移転反対から賛成に鞍替えさせたのが第一。

　そして仲井眞沖縄県知事の要求事項のほとんどに、安倍総理は誠意を持って解決案を示した。普天間以南の米軍基地の早期返還、米軍基地内への環境調査に伴う立ち入り、オスプレイの半数を内地の基地で訓練させることなどがそうだ。それに加えて沖縄振興のため、今後１０年間毎年３千億円以上の予算を配布することだ。知事が「驚くべき努力」として、埋め立て許可にＧＯサインを出したのもうなづける。






　沖縄に「沖縄独立論」があることも知っている。だがその法的な根拠はどこにもない。昔から日本語を話していた日本人が、どうして日本から独立出来るのだろう。かつて琉球王国は奄美諸島のうち７島を攻め獲り、宮古以西の八重山諸島も力で支配した。だが、１６００年代初頭の島津藩侵攻により、琉球王国は実質島津の支配下となり、奄美の７つの島も奪い返された。なお、琉球王国の公文書は島津侵攻以前から、全て漢字混じりの平仮名で書かれている。

　そして明治新政府によって琉球王国・琉球藩は解体し、日本の一県となった。いわゆる「琉球処分」だ。それは当時の国際状況から見て、当然の帰結だった。第２次世界大戦終戦後の米軍・米国統治も沖縄にとっては厳しい道だったと思う。そして日本への帰還が決まった後も広大な米軍基地がそのまま残った。





　私が２５年前に赴任した時の沖縄は貧乏で、本土とはかなりの格差があった。那覇市内でも下水処理が十分ではなく、汚水の悪臭があちこちに漂っていたのだ。子供達は物を盗み、酔っ払い運転で一夏に何人もの高校生が死んで行った。道路に座って朝まで泡盛を飲む人々。そして日本一の離婚率。当時は沖縄復興の陰で、自殺する島民も多かった。

　だが、今の沖縄は違う。私は離任後も１５回ほど沖縄を訪れているが、その都度島内の整備が進んでいることを実感した。那覇市内の米軍軍港や住宅が消えて新しい街が出来、広くて立派な道路が本島北部の過疎地にまで作られていた。そして多くの離島には橋が架けられ、利便性が大いに向上している。沖縄県から上がる税収の何十倍もの国家予算が毎年注ぎ込まれているからだが、地元のマスコミは何故かそのことを詳報しない。






　話は変わるが、外交や防衛などの国家機密を公務員が漏えいしてはいけないのは当然のこと。簡単に情報が漏れることの方が大問題で、これは「知る権利」とは本来無関係のはず。近隣には日本の歴史認識を問題にする国があるが、歴史を直視せず歪曲しているのは果たしてどちらだろう。平和を保つことと、自国を愛し防衛することは決して矛盾しない。

　繰り返すが、今回の辺野古沖埋め立て許可と今後の普天間基地移転は、日本のためにもそして当然沖縄のためにも良い現実的な選択だと思う。沖縄の防衛はそれだけ重要な意味を持つ。断っておくが、私が自民党へ投票したのは選挙権を得た４９年間でたった１度だけ。それも他に適当な候補者が見つからなかった若き日のことだ。＜続く＞