テーマ:暮らしを楽しむ(387537)
カテゴリ:生活雑記
≪ 夢のマイホーム ≫
家を建てること。ひょっとしてそれは、人生最大の事業なのかも知れない。有り金をはたき、家族の夢を託したマイホーム建築こそ究極の喜びとは淋しいが、多くの人にとってそれが現実だと思う。大都会では狭い土地に、背中をくっつけるように並んでいる家を見た。あれで自分の家を間違えないのだろうかと心配するほど、似たような家が隣り合ってる風景も。だが、狭いながらも楽しいのが我が家なのだ。 これは「開拓の碑」。我家の付近には、戦後紙漉山(かみすきやま)と言う山林を開拓した土地がある。戦地からの復員者が荒れ地を切り拓き、農家や植木屋さんになった。江戸時代は紙の原料のミツマタを植えていたそうだ。それが地名の由来。それが今では、ほとんどが閑静な住宅地に変わった。 44年前に今の土地を買い求めた時、敷地の裏には可愛い小川が流れていた。それは田圃に水を引くための農業用水。50年前周囲は一面の田圃で、私は一度だけ田植えをしたことがある。下宿の小母さんの実家がこの付近にあったのだ。だが、あの小川も田圃も今はどこにも見当たらない。当時の面影が残るのは、わずかな畑と1軒の植木屋さんだけだが、それすらどんどん消えて行く。 今、仙台市内では建築ラッシュが続いている。3年前の東日本大震災で散々な目に遭った東北だが、ようやく人々は落ち着いた暮らしを取り戻しつつあるようだ。 今は復興の途上。ちょっとした空き地や畑が宅地化され、ある日突然工事が始まる。 そうなると早いもので、みるみるうちに家が建つ。そして町の様子が少しずつ変わって行く。 今は建て売り住宅も、昔のような雑な造りではない。 名の通ったメーカーが建てる建て売り住宅も、結構多いみたいだ。 真新しいガラス窓に張られた広告が通り行く人々を誘う。 「どうです、あなたも素敵な夢を買いませんか」と。 でもね。その一方で屋根にブルーシートが架けられたままの家もある。そろそろ震災から3年が経つと言うのに、まだ壊れた屋根瓦を直せないのだ。風に煽られてブルーシートがめくれ、そのうち飛んで行ってしまいそう。 「がんばろう宮城。 がんばろう東北。 力を合わせて早期復興を」。建築現場の風景。 人々の夢を叶えるべく家が建ち、街はやがて郊外に広がって行く。 昔は田圃だった土地や高い山の上まで、家、家、家。お~い、我が家は一体どこだ~?? 「ハハハ。あんたの家はあの上だよ~」。風が笑い、空も笑う。 こうして今日も、山の上に1軒の家が建った。<続く> どの家にも幸運が訪れますように~ by便所神 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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