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マックス爺のエッセイ風日記

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2014.02.21
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テーマ:詩(904)
カテゴリ:
海5.jpg



        六月のバス


 六月のバスは
 汗ばんだ風の匂いで溢れている


 六月のバスは
 素早く席を見つける
 外国人教師の薄くなった金髪頭 や
 座りたいくせに立っている
 通学児童のランドセル や
 毎日 乗客の姿をスケッチしている
 事務職員の画帖 や
 ヒップラインもあらわな
 女子学生のタイトスカート
 を 乗せながら 
 郊外の大学に向かって走って行く


 それでも
 六月のバスは
 窓ガラスに触れそうなモクマオウの葉蔭から
 もう 夏が近づいていることを予感している


 そして
 六月のバスは
 サトウキビ畑の中を
 突然
 中城湾に墜ちて行く



                 1989.6.16 第一詩集『南島風景』から



                             沖15.jpg


 私の職場は郊外にあり、通勤にはバスを使っていた。この詩はその通勤風景を描いたもの。6月の沖縄はむせかえるような暑さで湿度も相当に高く、ここが亜熱帯の島であることを思わざるを得ない。バスから見える風景も内地から来た者にとってはすべて珍しく、異国情緒豊かなもの。

 南北に細長い沖縄本島の真ん中を、まるで背骨のような脊梁高地が貫き、道路は曲がりくねり登り下りを繰り返す。だからこれがバスに乗って感じる正直な印象なのだ。オーバーかも知れないが、最後のジェットコースターのような急激な下り坂は、まるで中城湾に墜落するような気分になったものだ。<続く>
   





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Last updated  2014.02.21 04:58:15
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