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マックス爺のエッセイ風日記

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2014.03.04
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カテゴリ:
版画3.jpg



    四季・祈り


 ポインセチアが鮮血を浴びて立ちつくしている
 うつむき加減に匂っている緋寒桜は
 まるで穏やかなウチナンチュ
 サトウキビの白い穂は
 風にそよぎながら糖度を高め
 刈り取りの時を待っている


 アスファルトの道路を駆けぬけるランナーの額にも
 うっすらと汗が光っている
 冬


 東シナ海の重たい雲間から降り注ぐ光も
 ほんとうに明るくなってきた
 雨が銀色に島を包むと
 大地は待ち兼ねていたかのように
 生気を取り戻す


 とある日 一族は墓前に集い
 先祖の加護と
 安らかな暮らしとを祈る
 春



 木陰はあんなにも涼しいのに
 日向は
 まるで刺されたような痛み
 強い陽差しの中で
 御嶽(うたき)も静まりかえっている


 ここでは
 少しでも昼寝をしておかないと
 体が言うことを聞いてくれない
 

 眩しい星砂の浜辺
 珊瑚礁のすぐ向こう側には
 青い裂け目が戦慄している
 夏



 一晩中 悲鳴を上げていた樹々よ
 暗闇の彼方へ拉致された無数の木の葉よ
 嵐の翌朝には
 真っ二つに折れた南洋杉や
 窓ガラスにへばりつく潮風の残骸に
 驚かされるのだ


 台風は
 海から立ち上がる水蒸気を巨大なエネルギーに変えて
 痩せこけた島々を
 繰り返し 繰り返し 襲ってくる


 やがて
 新北風(みいにし)に身震いする日が来ると
 秋


 美しい島よ
 何も無いからこそ 一層豊かな
 孤島苦(しまちゃび)の島たちよ
 この小さな島嶼にも
 これまで数え切れない時間が巡り
 季節は音も立てずに移り変わる


 いまは 秋
 天に
 短くて貧しい祈りを捧げる季節


                   1990.10.22 第一詩集『南島風景』から



                             
                        沖1布.jpg
 
                             沖縄の染色:紅型(びんがた)
 





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Last updated  2014.03.04 04:10:01
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