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マックス爺のエッセイ風日記

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2014.03.19
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カテゴリ:
空2.jpg



    透明な手紙



 ときに人は手紙を書き
 手紙を受け取る
 手紙はそれを書いた人と
 受け取った人にしか
 本当の意味はわからない


 人はなぜ手紙を書くのだろう
 愛し
 別れ
 励まし
 裏切る


 あたりに散らばる無数のことばの中から
 自分だけのことばを捜して


 宛先のない手紙
 ついに出すことのなかった手紙の数々


 もし遠く過ぎ去った若き日の自分に
 1回だけ手紙を書くことができるなら
 人はいったいどんなことを書くだろうか


 あるいは
 まだ見ぬ未来の自分に
 手紙を書くことが許されるなら
 人は何を尋ねようとするだろうか


 きっとその手紙は
 透き通った空の色を
 映しているように思えるのだが


               1992.1.26   第二詩集『透明な手紙』から


                         第二詩集.jpg 


 沖縄勤務の3年目。ガジュマルが茂る宿舎に残ったのは、高校3年の長男と私だけになった。長女は四国の大学に進学し、次男の進路を心配した妻と中学2年の次男も長女が住む街へ引っ越した。成長期にある長男と2人暮らしになった私は、毎日メニューを書き、食事を作った。あの時は苦しかった。自分の仕事をしながら、子供の面倒を見る辛さ。長男がズボンを破いても私は繕うことが出来なかった。一方勉強が不得意な長男は、この後大学受験に失敗する。

 その苦しみの中で生まれたこの詩には、沖縄のことは何も出て来ない。私は小学生の頃から詩を書いていたが、二十歳の頃を最後に、全く詩が書けなくなった。それが沖縄に転勤して25年ぶりに詩が書けたのだ。この詩の特徴は、現実感が乏しいことだろう。それも魅力と考えた私は、第二詩集のタイトルをこの詩から採った。今回から第二詩集『透明な手紙』の中から、主な作品を紹介したい。<続く>





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Last updated  2014.03.19 05:11:29
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