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マックス爺のエッセイ風日記

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2014.03.20
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カテゴリ:
海3.jpg



    海


 海を見に行く
 光は波をルリ色に変え
 波は小舟を静かに揺すり
 小舟は悲しく岸壁に繋がれる


 海に注ぐ川
 白い砂浜
 波とたわむれる子供達
 捨てられた麦わら帽子
 遠くを眺める老夫の眼差し
 潮風と煙の匂い
 眩しく煌めくそれらのものが
 記憶を呼び起こすひととき


 あれはいつか見た風景
 あれもいつか嗅いだ匂い
 幼い日に繋いだ母の手の微かな感触
 もう取り戻すことのできないわたしの時間


 九月半ばというのに
 まだ暑い浜辺では
 押し寄せる波が
 無心に珊瑚の残骸を洗っている


            1991.9.12 第二詩集『透明な手紙』から


                   貝2.jpg

                        沖縄の思い出のサンゴ(左)と貝殻


 沖縄での私の移動手段は排気量50ccの原付。この身軽な乗り物に乗って、私は島中を駆け巡った。訪れた先は、城(ぐすく)、御嶽(うたき)、拝所(うがんじゅ)、神社、風葬墓、観光地などなど。時には「海中道路」の突端にある伊計島や、フェリーに乗って浜比嘉島や伊是名島まで遠征したこともある。この詩に出て来る海岸は、沖縄本島中部にある嘉手納町の水釜海岸だったと思う。この時もどこかへ向かう途中で、ふらりと立ち寄ったのだ。

 沖縄勤務の3年目、妻、長女、次男が内地へ帰り、私は長男と2人暮らしだった。その淋しさを埋めるように、私は原付に乗って小さな冒険の旅を続けていたのだ。誰も居らず、小舟が何艘かあるだけの浜辺。その何気ない風景から、この詩は生まれた。沖縄ならどこででも見られる海岸だが、私にはなぜかとても懐かしい風景のように感じられたのだ。<続く>





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Last updated  2014.03.20 04:49:49
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