カテゴリ:写真
≪ 新緑編ー2 ≫
4月末のある日、私は遅咲きの桜と共に、新緑を撮った。長い間、北国の厳しい寒さにじっと耐えていた木々にも再び活気が戻り、ようやく柔らかな葉が萌え出して来た。樹木によって葉の濃淡が違うが、それもまた美しい。生命の再生を感じる季節だ。では早速、そんな樹木の姿を紹介しよう。 やはらかに柳あをめる北上の 岸辺目に見ゆ泣けとごとくに 石川啄木 ここはA公園の沼。残念ながら北上川ではないが、岸辺の柳も美しく芽吹き出した。 こうして見ると、八重桜と新緑のコラボも悪くはない。 山笑ふ その又向かうに 山ありて 東芳子 これは近所の風景。遠くの山はトンガリ山こと太白山(標高321m)である。俳句の世界では、山の木々に新緑が萌え出すことを「山笑う」と表現し、春の季語になっているようだ。今はまさに山が笑う季節。 雲過り 又雲よぎり 山笑ふ 稲畑汀子 あらたふと 青葉若葉の 日の光 芭蕉 「奥の細道」の途中、日光で詠んだ句。初々しい青葉が日光に照らされ神々しくて尊いと彼は詠んだのだが、東照宮に眠る家康への思いが籠められているようにも感じる。 行く春や 鳥啼き魚の目は泪 芭蕉 これらの写真を撮ってから2週間近く経った。新緑は今や深緑へと変わりつつある。季節の移ろいの早さには、驚くばかりだ。 < 今日のおまけ > 鶯や 竹の子藪に 老を鳴く 芭蕉 今日のおまけはタケノコ。旬のタケノコは柔らかくて、春の香りに満ちている。でもこの句ではウグイスが主役。梅が咲き出した頃には、まだ鳴き方がへたくそだったウグイスが、若葉が茂る頃になるとさえずる声も美しくなり、まるで老成したみたいだと芭蕉は感じたのだろう。芭蕉の句には、季節感が溢れている。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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