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マックス爺のエッセイ風日記

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2014.07.19
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カテゴリ:芸術論
室生寺2-1.jpg 室生寺五重塔

 7月12日土曜日。仙台市博物館で、特別展『室生寺の仏たち』を観た。室生寺は奈良県宇陀市にある古寺で、「女人高野」とも呼ばれている。三重県との県境に近い同寺は天武8年(680年)の創建と伝わる。今回は国宝の仏像など約90点が出展されている。会場内は撮影禁止のため、写真は地元新聞の紙面などから借用させていただいた。会期は7月4日から8月24日まで。本展は「東日本大震災復興祈念企画」である。


室生寺の仏たち 仏像大.jpg

 宝暦年間(770~781年)後に桓武天皇となる山部親王の病気平癒の「延寿の法」を室生で執り行ったところ、見事に回復。朝廷の命により興福寺の高僧がこの地に寺院を建立した。現在の堂宇のうち9世紀前半まで遡れるのは、五重塔のみ。

 元禄11年(1698年)それまでの法相宗から真言宗に改宗し、以来女性の入山が許可されたことから、「女人高野」の別名がついた。この頃徳川五代将軍綱吉の生母桂昌院(1627~1705年)の寄進で堂塔が修理されたことも、女性の参詣を増やした一因と思われる。


室生ー金堂.jpg 金堂

 国宝の金堂は鎧坂(よろいさか)を登った石段の上にある杮葺(こけらぶき)の建物。高床の正面一間通りは江戸時代に付加されたもので、それ以前は石段の上(外)から堂内の仏像を直接拝むことが出来た。


          五重塔  室生寺2五重塔.jpg 

 国宝。屋外に建つ五重塔としては国内で最も小さく、高さは約16mで法隆寺五重塔に次ぐもの。檜皮葺(ひはだぶき)の屋根と丹塗りの組み合わせが絶妙。屋根の大きさが上から下までほとんど変わらないため、こんな風に見える。数年前の強風で境内の杉が倒れ、破損した。この時全国から暖かい支援を受けたことが、今回の協力に繋がった。


室生寺5釈迦国宝.jpg 釈迦如来立像

 国宝。本尊の釈迦如来立像はカヤの一木造で平安前期の作。本来は薬師如来として造立されたようだ。朱色の流れるような衣紋(えもん)は漣波式(室生寺様)と呼ばれる。光背(こうはい)には、七仏薬師、法相華、唐草文が描かれている。


      十一面観音菩薩立像  室生寺4十一面国宝.jpg

 国宝。装飾的で女性的な優しさが漂う、室生寺様式の仏像。唇には朱も塗られている。八重蓮華座の台座の一部に後世の補修があるが、平安前期の様式を良く伝えている。

  
   室生寺6十二神.jpg

  十二神将の一部  室生寺7十二神.jpg

 重要文化財。薬師如来の卷属(けんぞく=一族)として12の方角を守る神。同時に12の時と月を守り、頭上にそれぞれ一体ずつ十二支を戴く。誇張のある姿態の表現は鎌倉時代の特徴。檜の寄木造に彩色が施されている。このうち2体は常時奈良国立博物館にあり、全体が揃うのは希有である。


室生寺8.jpg 両界曼荼羅

 胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅の2つを合わせたものを両界曼荼羅と称する。日本密教の中心となる大日如来(万物の慈母)を中心に配し、その周囲に一定の秩序に従って数々の仏を散りばめている。


            室生寺4-1.jpg

 素晴らしい仏たちに出逢えたのは、我ながら幸運だったと思う。この室生寺の仏像に魅せられた写真家は多い。山形県酒田市出身の土門拳(酒田市に写真博物館がある)が、写真集「古寺巡礼」を撮影する際、最初に室生寺を訪れたことはあまりにも有名である。

 また奈良市の仏像専門写真家小川晴暘、光三親子、三好和義なども室生寺をこよなく愛した。彼らが撮った数々の写真も、特別のコーナーにまとめられていた。名前だけしか知らなかった古寺の実態を、この特別展で知ることが出来たのは、私にとって僥倖と言うべきであろう。


           





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Last updated  2014.07.19 08:37:12
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