マックス爺のエッセイ風日記

　

　ここは霊屋（おたまや）橋のたもと。家からバスに乗って、この停留所で下りた。目の前に崖が見える。広瀬側の河岸段丘で１０ｍはあるだろうか。対岸の右側は「米ケ袋」で、「こめがふくろ」と読む。広瀬川が蛇行していて、ちょうど米を入れた袋状の地形なのだ。対岸の道を登ると片平丁（片平丁）方面へ出て、東北大学の本部などがある。


　　　　　　　　　　　　　

　「ロープル仙台」がやって来た。これは市内の観光地を巡り歩く低料金の小型バス。乗ったこともないし、正確なコースも知らないのだが、市内では良く見かける。これから瑞鳳殿へ寄るのだろう。仙台藩祖伊達正宗の霊廟だ。「霊屋」の地名もそこから採った。


　

　評定河原橋の上から、青葉城方面を観る。つまり広瀬川の上流を見ている。小雨で山が煙っている。カメラのレンズを何度もタオルで拭く。


　　　　　　　　　　　　　

　前方は川の左岸で、大手町方面。崖の上に高層のマンション群が見える。藩政時代、この辺りは武家屋敷が連なっていた場所。政宗は広大な敷地を利用して、果樹を植えることを家臣に勧めた由。


　

　評定河原橋の上からの眺め。今はコンクリートの立派な橋に変わったが、私が子供の頃はまだ木の橋で、水害で良く流されたようだ。


　　　　　　　　　　　　　

　橋を渡り、片平丁方面を観たところ。「片平」は河岸段丘地形から来た地名。高さ３０ｍほどの崖に添って、石段がある。子供の頃、母に手を引かれて登った記憶があるのは、多分その石段のはず。


　

　再び広瀬川の上流方面を覗き込む。「評定河原」の地名は、藩政時代この地に評定所（ひょうじょうしょ＝裁判所）があったため。


　　　　　　　　

　崖の下、つまり手前に見えるのが評定河原球場。市民がアマチュア野球を楽しむ場所でもある。戦前は確か小さな動物園があったと聞く。


　

　雨の中で若者達がサッカーをしている。一般市民なのか、それとも大学生なのか。イチョウの樹の向こうの地名は「花壇」。なぜそんな名になったのか、由来は知らない。戦後、ここには早川牧場と言うのがあり、たくさんの牛を飼っていたようだ。


　　　　　　　　　　　　　　　　

　球場横の落葉。イチョウの葉が、一面に敷き詰められていた。落ちたギンナンを拾う人はいないようだが、雨のせいだろうか。


　　

　再び片平丁方面を見上げる。「片平」は川岸の片側が平らな地形であることを示している。


　　　　　　　　　　　　　　

　大手町裏の崖の上に高層マンションが見える。その下には葉が落ちた柿の木。何だか不思議な組み合わせだ。


　

　西公園の紅葉。戦後はこの公園内の崖に幾つも防空壕があった。そして崖下の公園には市営のプールもあった。今はどちらも姿を消して、坂の上に新しい地下鉄の駅が出来る。その名も「西公園駅」だ。


　　　　　　　　　　　　　

　道路の向こう側へ渡り、河原へと降りて見る。目の前が仙台城へ行く大橋。この橋は城下町のメイン道路でもあった。


　　

　藩政初期、橋桁の傍に「水牢」があった。江戸幕府から「キリシタン禁止令」が出され、伊達藩でも止むなくキリシタン達を処刑した。本来伊達藩は支倉常長らをヨーロッパに派遣したほど西洋文化には理解があった。キリシタン禁止令が出された後も、全国から逃げて来たキリシタンを放任していたのだが、とうとう幕府の追及に抗することが出来なくなったのだろう。キリシタン受難の銅像は、他の銅像と共に別途シリーズを組みたい。


　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　大橋の柱に紅葉したツタの葉が。


　

　大橋の上から広瀬川を覗き込む。藩政時代この橋は木製で、何度も架け直されている。南三陸町の神社を訪れた時、境内の杉の大木を伐り出して、仙台城下の橋に使ったとの説明板があった。今でも川底に、その橋桁の痕跡が残っている。マックス爺の雨中の散策はなおも続く。＜続く＞