カテゴリ:考古学・日本古代史
<青森県立郷土館の展示物 その1>
北東北の歴史を訪ねる旅の最終日、6月28日に訪れたのが青森県立郷土館でした。ここには縄文時代の遺物を始め、江戸時代辺りまでの膨大な展示物があり、私は夢中になって撮影していました。ここは例外の物を除き、フラッシュを焚かなければほとんどの物が撮影出来るのです。私も早速撮影許可を申し込みました。それで撮ったのが以下の写真です。 さて、同館の縄文時代の展示物でも一際目についたのが『風韻堂コレクション』でした。これは青森市内に住む医師親子が、自費を投じて長い間収集したものを、同館に寄贈したものです。縄文時代の代表とも言うべき秀品がたくさん含まれていることに驚きます。一般の常設展示物よりも格段に優れていると私は感じました。ただし、館内を何度も往復して撮ったため、どれが風韻堂コレクションでどれが常設展示のものかの区別が分からなくなったのが残念です。 左が風韻堂コレクション展示室に掲げられていた書です。その時は何気なく観、何気なく撮影したのですが、後で青森県が生んだ偉大なる版画家である棟方志功の書であることにようやく気づいた次第です。版画もそうですが、彼の書にも独特の味わいがありますね。私の好きな作品です。右側はとても小さな土偶で、軽く微笑みながら立っているように見えます。 縄文時代の土偶です。ほぼ完璧に残っており、かつ保存状況も良好です。目の縁が特徴的な土偶で、後で説明が出て来ます。 赤い顔をした土偶です。恐らくは赤い漆などが塗られていたのでしょう。呪術的な要素が強い作品です。 合掌する人物で、国宝に指定された土偶のレプリカです。まるでUFOに乗って飛来した異星人のような格好をしています。 遮光器型土偶です。遮光器(しゃこうき)とはエスキモーの雪眼鏡のことで、雪の眩しさから目を護る「装置」をかけたように見えることから名付けられたものです。青森県の亀が岡遺跡が主な出土地で、これもきっとそうなのでしょう。現地木造町(現つがる市)「縄文館」の出土品は東京国立博物館などへ貸し出し中で、前日訪れてガッカリしたものです。大雨の中、ずぶ濡れ状態で訪ねたものですから特にね。 だからここで会えて嬉しかったですよ。長い間追及していると、こんな風に思いがけない遭遇、予期せぬ出会いがあるのが古代史や考古学の面白さでもありますね。青森県の遮光器型土偶と新潟県出土の「火焔土器」は縄文時代の土器の中でも特に秀逸で、縄文人の不思議さや力強さを感じますね。彼らの美的センスは現代人にも負けないほどです。右側の土偶には髭が見えますね。 乳房があるので女性とわかります。とてもシュールな印象を受けます。 左側は女性の土偶。右側の土偶には全身に刺青(いれずみ)のような模様が点々と施されています。これも呪術的な要素が強いのでしょう。 見事なデザインの服を着た土偶です。 この土偶が着ている服も、極めて現代的なデザインをしていますね。 この土偶は冠のような形をしたものを被っています。 あどけない笑顔をした土偶です。 ポカンと口を開けて立っています。 この白っぽい色の土偶は、全身に模様が施されています。 一説によれば縄文人の平均寿命は37歳程度だったと言われています。こうして破壊された土偶は人間に代わって穢れを落とし、長命と繁栄を願ったと考えられています。壊された土偶には、縄文人の切なる願いが籠められていたのです。良く観察すれば、今日紹介した土偶には大抵破壊の痕跡やヒビが入っていることに気づかれるでしょう。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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