マックス爺のエッセイ風日記

　　大年寺山門と桜

　４月のある日、男は久しぶりに自転車に乗って街へ行った。ある会社の駐輪場に自転車を停め、男は街を歩く。最初に向かったのはとある都市銀行のＡＴＭ。仙台にはそこにしか支店がなく、引き出すのも記帳するのもここまで来る必要がある。個人年金が振り込まれるこの口座は、男の将来にとって重要な意味を持つ。歩きながら男はビルの写真を撮る。いずれブログに載せようと考えているのだ。

　次に男は仙台駅の新しい東西連絡路を通って東口に向かい、ツツジが岡大通りに出る。楽天ショップが移動したのを、男はＨＰで確認していた。翌日のチケットを買おうとしたのだが、既に完売。コンビニでも完売の由。最近の東北楽天は強いので、人気が一段と高まったのだろう。それに梨田新監督の親しみ易い人柄も関係してるのかも知れない。仕方なく駐輪場へ戻り、途中で地方銀行の記帳も済ませた。こちらは男の小遣い帳代わりのようだ。


　　　　　　　広瀬川　

　男は再び自転車に乗り、家の方向に向かう。最初に立ち寄ったのが安いので有名なラーメン店。ラーメンと半チャーハンのセットで７００円にもならない。味が濃厚でないのも男の好みだ。次に大型ショップの中にあるスポーツ店へ。男は大抵その店でランニングシューズを買う。もう年度末セールは終わっているので、目玉商品は期待出来ないだろうが、そこは信頼が出来る。幸い４割引きのシューズが見つかった。サイズが大きいのと、底が堅そうなのが難点だが、男は即断して買うことにした。

　次に男が向かったのは、その向かいにある区役所。そこの３階で「敬老乗車券」を購入した。これは仙台市の福祉サービスの一環で、７０歳を超える高齢者への対応策。１枚５千円のカードが５００円で買え、低所得者はさらにその半額の由。このカードで地下鉄と公私２つの路線バスに乗れる優れ物だが、男は歩いたり自転車に乗って運動に努めてるため、この２年で使ったカードはわずか７枚分。年に最大２０枚買えるが、年に３．５枚分の使用と言うから驚く。


　　ニューシューズ

　翌日、男は早速新しいシューズを履いて走りに出かけた。青いシューズに合わせて、この日は青や紺色系統に統一した。帽子、半袖シャツ、ハーフタイツ、ポシェット、タオルハンカチなど。念のため青の手袋も持ったが、これはデジカメの入れ物として使った。手にはサプリメントを溶かした飲み物が入ったペットボトルも。黒飴も２個持参。早速足に痛みと疲労を感じた。初めて履くメーカーで底が堅いせい。それにサイズが大きいため、紐を堅く結んだのが原因だろう。

　３ｋｍほど走ったところで、紐を緩める。これで足の甲への負担は軽くなるはず。ゆっくり坂を登る。そして時々デジカメで撮影。桜がきれい。ソメイヨシノは満開状態だ。さらに山の上の団地に向かう。犬と散歩中の人に抜かれる。歩く人よりも遅いランナーなど、滅多にいないはずだ。だが男はそんなことを気にもしない。公園のトイレで小用し、ペットボトルに水を補給。


　　　　　　　　名取川　

　山から下ると、熊野神社の境内も桜が満開状態。名取川の堤防では２本の巨木に白い花。あれはきっとコブシのはず。既に花は散り始めたようだ。キジやウグイスの鳴き声も心地良い。笊川の土手では大勢の人がお花見をしていた。途中で誰かが男に声をかけた。近寄ると住吉台走友会のＣちゃん。近くのビニールハウスでアルバイト中らしい。彼は３学年後輩で今年７０歳になる。今も走っていて、仙台国際ハーフも出れば完走出来るだろうと言う。何と勿体ない話だ。

　帰宅後は水シャワー。水温は１０度以下だが、傷んだ筋肉を冷やすのにはちょうど良い。体重が２ｋｇ減って６５ｋｇ。ここまで減ったのは２年ぶり。体脂肪率も２％減で１．３ｋｇほど脂肪が燃焼したみたい。足の痛みは、擦り傷が原因だった。早速シューズの紐と中敷きを取り換えた。これで足への負担は軽くなるはず。この日男が走った距離は１５ｋｍで、要した時間は３時間１０分。最高気温は２３度を超えたとかで、男の顔は少し日に焼けたようだ。昼は今季初物の冷やし中華を作った。


　　近所の枝垂れ桜

　翌朝男はブログ更新後、散歩に出かけた。足の痛みを確認するためでもあった。Ａ公園の柳が青々と芽吹いてきれい。Ｍ公園のソメイヨシノなどが満開状態で、散歩中の人やカメラで撮影する人の姿が見えた。所属走友会のお花見は４月下旬だが、その頃は八重桜に変わっている。カタクリの群生地にはロープが巡らせてあった。保護のためだろうが、初めての措置。ここでもウグイスの声を聞く。４ｋｍほど歩いて、男は家に戻った。その途中でツバメの姿を見た。暖冬の今年はやけに早い飛来だ。


　　　　　近所の大島桜　

　別のある日、男は歩いてＤＩＹの店に行った。買ったのは自転車用の油と野菜の種。この日の午前中、男は自転車のギア調整を近所の小さな自転車店で済ませていた。店主は耳の遠い８０歳の老人で、料金は３００円。自転車は男の足代わりだが、連休中に遠出しようと計画中なのだ。眼の悪い男にとって、それはきっと冒険になるはず。それに美術館や博物館も訪ねてみたい。新しい水族館へ行くのも良い。畑ではそろそろ夏野菜の準備が始まる。種はそのためのものだ。


　　結婚式場のチャペル

　その全てが、男の趣味であるブログの「ネタ」になるのだ。男はブログの進行表を作っている。読者が飽きないよう、内容に変化をもたせているのだが、果たしてそれに気づいている人がどれだけいるかどうか。まだ昨年撮った写真がＰＣ上にたくさん残っているので、それも出来れば使ってやりたい。男は結構貪欲なのだ。「それに」と男は思う。いつか「コボスタ」に行って応援したいものだ。そこは東北楽天の本拠地。どうやらブログネタにも良いと考えたようで、男が一瞬ニヤリと笑った。＜完＞