カテゴリ:健康
<猫じゃらしと無法者>
ベッドに横たわっているとエノコログサが見えた。通称猫じゃらし。秋になったせいか黄色く色づき、まるで麦の穂のようだ。それが風になびいている。隣の小児病棟の屋上に生えているのだが、除草しなかったのだろう。草が揺れるのは台風18号の影響か。テレビも見ず、新聞も読んでないため、外からの情報が全く入らない。救急病棟から出ることは出来ず、見舞いも家族や親戚だけに限定されてるのだ。 ようやく一人でトイレに行った。3日ぶりの排便なのに、出た量はわずか。連日ベッドに寝ているため運動不足なのだろう。おまけに腰まで痛み出した。毎日10時間ほどベッドで寝ている。14時30分。看護師さんが洗面台でシャンプーをしてくれた。これは傷口を清潔に保つためでもあるらしい。ついでに髭を剃ったら、さっぱりした。こちらも3日ぶりの出来事だった。 17時血圧測定。手術後も上は180近くあったのが、ようやく140台までに下がる。手術と血圧降下剤の効果が出始めたようだ。18時夕食。メニューはチキンカツ、モヤシと青梗菜のお浸し、刻みキャベツ、油麩とネギの味噌汁。20時。この日2度目の排便も細々としたもの。21時30分消灯。 9月18日月曜日。入院4日目。朝の6時に看護師の声で目覚める。体温と血圧を測定し、ライトを瞳に当てて反応を確認。いずれも正常みたい。看護師さんの話によれば台風は日本海側に抜けた由。それでも昨夜は風雨が強かったそうだ。屋上の猫じゃらしが風に揺れている。台風は抜けたが、まだ風があるようだ。ドクターから歩行の許可が下り、救急病棟の廊下を往復する。ああ愉快なり。 7時45分朝食。メニューは可愛らしいワカサギの佃煮2匹、五目豆腐含み煮、オクラと大根おろし、玉ネギと豆腐の味噌汁、牛乳小パック。いつもながらの低カロリー食。8時50分陰気なドクターが来室し、午後から一般病棟への移転を宣告される。退院は抜糸後とのこと。執刀医の最初の話と違っていたため少々戸惑う。では退院は何時になるんだろうね。 9時20分。「ため口」の看護師来室。その割には何だか要領を得ない話しぶり。「結局私1人でシャワーせよと言う意味ですか」と聞くと、そうだと言う。左腕の点滴の「受け口」をビニールで覆ってもらい、シャワー室へ。不自由ながらもちゃんと洗髪し、体を洗った。もちろん手術痕の傷口を清潔に保つための入浴だ。 それを観た同室の男が自分もシャワーしたいと言い出した。やれ病院食は味が薄いので、濃い味噌汁を飲みたい。やれテレビカードが切れるので何とかせよ。やれ友人の見舞いは無理か。やれ仕事が溜まっているので早く退院したい。常に要求し続けている非常識な男。自分が脳出血で救急病棟へ運び込まれたことなどまるで認識してないのだ。ついには友人を親戚に仕立て上げて、面会を実現させてしまった。この無法者めが!!<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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