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マックス爺のエッセイ風日記

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2017.10.28
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カテゴリ:旅、温泉
<対馬の旅 その1>

           
                   <対馬の地図>

 対馬は東西18km、南北82kmの細長い島。九州本土から132kmも離れているのに、朝鮮半島からだとわずか50km足らずの距離だ。かつて朝鮮半島と日本列島は陸橋でつながっており、旧石器時代の海進により島となった。従って遺跡は縄文時代からになる。海進によって平地は海となり、陸地は溺れ谷のリアス式で、山がちな地形だ。

 島の中央部にある浅茅(あそう)湾は複雑な形をしており、江戸時代と明治期に狭い地峡を掘って船を通らせ、軍備を固めた。かつては一つの島が、現在では3つに分かれている。島内には多数の砲台跡が残っている。私達が今回訪れたのは島の南部から中央部まで。韓国との間のフェリーは1日に4便はあるようだ。島の人口は3万2千人。

  

 上見坂(かみさか)公園から見下ろした浅茅湾は、複雑に入り組んでいる。明治期、ここに海軍基地が設けられ、東西の自由な航行のため人工の瀬戸が掘削された。私は女優木村多江似の若いバスガイドさんに金田城の場所を尋ねた。彼女は立ちどころに指を差し、その場所を教えてくれた。なるほど分かり難い位置。これなら容易には攻められなかったはず。

  

 これが金田城(かねだじょう・かなたのき)。<ネットから借用>。下に見えるのが浅茅湾だ。この城は天智天皇6年(667年)に築城された朝鮮式山城で、敵が攻めて来た際に逃げ込む城。倭と百済の連合軍は朝鮮半島の白村江において唐と新羅の連合軍に敗れ、敵の襲来を警戒して、対馬、九州北部、瀬戸内海沿岸、近畿に山城を築き、都を近江宮に移した。対馬へは防人(さきもり)が送られ、対馬を詠んだ和歌も多い。


           

 これより数百年ほど前の話、戦死した夫仲哀天皇(第14代)の身代わりとして、神功皇后が新羅を征伐し、高句麗や百済へ我が国への朝貢を誓わせたとの説がある。いわゆる三韓征伐だ。この時皇后は身重で、戦いを終えた後第15代天皇の応神を産んだとされている。通称から推察すると琵琶湖や北陸で水軍力を誇っていた息長(おきなが)氏の系統みたいで、まんざら作り話でもなさそうだ。

  

 朝鮮海峡を挟んだ日本と半島の人々の間には、昔から争いが絶えなかった。長安の都でも、どちらがより皇帝の傍に立つか席次を争っていたと聞く。鎌倉時代には元と高麗の連合軍が2度我が国を襲撃した。いわゆる元寇で、この時対馬や壱岐の島民が大量に殺戮されている。

 一方「倭寇」と称する海賊が朝鮮半島や中国大陸へと向かい、貿易品などを奪った時代もあった。また戦国時代には秀吉の二次に亘る朝鮮征伐もあった。近代に入ってからは我が国が朝鮮国を併合した時期があった。このように狭い海峡は通商や文化交流だけでなく、争いの糸口にもなったのだ。

  

 ここは島の中央部にある和多津美(わたつみ)神社。海上から本殿まで5つの鳥居が真っ直ぐに並んでいる。そして最も海側の鳥居の外には、竜宮城があると信じられて来た。対馬も宗像神社や出雲大社と同様に海人(あま)族が信仰したのだと思う。神社に海幸彦、山幸彦の神話が伝わっている由。海幸彦の妻は、蛇に身を変えて出産する。これは奈良の大神(おおみわ)神社の祭神とも関係がありそうだ。

  

 バスガイドさんが神社の裏手に案内してくれた。そこにあったのが磐座(いわくら)。いわば神社の原型で、原始神道の世界だ。神は高い山などに降り、岩や樹に憑依する。古代の神社には建物がなく、岩や樹、滝など、自然そのものが信仰の対象だった。私達の祖先は、きっとそれらに深い霊力を感じたのだろう。対馬の式内社は170以上と聞いた。壱岐同様、驚くべき数だ。

 私はガイドさんに樹の名前を尋ねた。沖縄のアコウに似てると感じたからだ。だが、アコウの北限は五島列島であることが、4日目の五島の旅で判明する。

              

 これは翌日、島の藩主である宗家の霊廟で撮った写真。どうやら観光で島を訪れた韓国人が積み上げたものらしい。こんな石積みが神社の境内にたくさん残されている。自分達の風習を日本で実践することに呆れる。釜山と対馬間のフェリーは片道2500円。彼らは日帰りでやって来て観光し、免税店で大量に薬品や化粧品を買って行くそうだ。島の人も困っていると聞いた。<続く>





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Last updated  2017.10.28 00:00:37
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