テーマ:美術館・博物館(1557)
カテゴリ:文化論
~仙台市博物館の特別展から~
このシリーズでは、仙台市博物館で開催された『古代アンデス文明展』を紹介しています。会期は平成30年7月27日から9月30日までで、既に終了しています。私が観に行ったのは終了の1週間前でしたが、大勢の観客で賑わっていました。 なお、この特別展では特定のものを除き、ほとんどの展示品の撮影が許可され、こうしてブログで公開出来たことに感謝しています。極めて学術的性の高い展示ですが、ご一緒に楽しんでいただけたら幸いです。 私達現代人が所属するホモサピエンスは、アフリカ南部で誕生した女性イブを祖先としています。それが世界各地に移動しました。肌の色は異なりますが、全て共通の祖先なのです。やがてアフリカから各地に移動し、その一部は凍結したベーリング海峡を渡って北アメリカ大陸へと進出し、海岸に沿って南アメリカ大陸まで渡ります。その大部分はアジアの民族と親戚で、中には日本人同様に「蒙古斑」を持つ人々も存在します。この南アメリカ大陸に古代文化を興したのも彼らでした。 古代アンデス文明を構成した各文化の名称です。左上から右上、第2段目の左から右、第3段目の左から右の順番で古さが構成されています。 これは各文化の主要遺跡と地理的配置状況を示しています。エクアドル、ペルー、ボリビア、チリにまたがる広範な範囲で各文化が栄えたことが分かります。人類の移動と密接な関係がありそうです。 この特別展の展示構成です。必ずしも年代順(各文化順)とは限らないようですが参考までに。 日本で言えば縄文時代の晩期から弥生時代の前期くらいでしょうか。 未焼成の小型男性人物像。つまり粘土のままで、共にレプリカですが素朴な味わいがありますね。 線刻装飾のある骨製の笛(レプリカ)で、芸術的なセンスと音楽を楽しんだ文化の高さを感じます。 次は上とは異なる遺跡です。 案外モダンな表現ですねえ。 チャビン文化は古代アンデスでは2番目に古い文化です。 チャビン・デ・ワンデル遺跡の全容。 上の画像をアップしてみました。巨大でしっかりした石組の遺跡であることが分かります。 上とは別のパネル。2枚の写真ですが、石組の精緻さがとても良く分かります。 古代アンデスの人々は神を信仰していました。そのことで彼らの精神構造が分かります。また神を祭る神殿も建築しました。以下は神殿の壁に組み込まれたジャガー神で、ジャガーが次第に神に変化する姿が刻まれています。 彼らは森羅万象を神と崇めました。どこか日本人とも共通する心理がありそうですね。また神聖な神への最大の供え物が人間でした。まだ幼い子供を神に近い高山まで連れて行き、そこで生贄(いけにえ)としたのです。そのミイラが現在でも高山で発見されますが、空気が乾燥しているため保存状態は極めて良好です。なお子供が怖がらないよう、弱いアルコールや麻薬を施すのが常でした。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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