テーマ:美術館・博物館(1556)
カテゴリ:芸術論
~法隆寺金堂 釈迦三尊像を再現する~
釈迦三尊像 法隆寺金堂は押しも押されもせぬ国宝だが、その本尊である釈迦三尊像もまた国宝に指定されたわが国最高級の至宝である。国宝指定の正式な名称は「銅像釈迦如来及両脇侍像」。作者は司馬鞍首止利仏師、出自は中国梁の人とも百済人とも言われる渡来人で、通称は止利仏師。 仏像の計測風景 現存する金堂(国宝)は7世紀末の再建だが、光背に刻まれた銘によれば、この仏像の制作は推古天皇31年(623年)とあり、金堂再建までどこに安置されていたかは不明。なお、金堂内の薬師如来はこの像よりも古い制作年代が伝えられるが、最近の研究によれば釈迦三尊像の方が古いことが確認される由。今回文化財保護の見地から、当像の複製化を試みたようだ。 化学的計測後に得られた三尊像図形 釈迦如来頭部の再現(樹脂製) 樹脂で復元された光背(こうはい=仏像の背後にあって仏像を飾るもの)で、小さな仏像が幾つか見える。 光背に刻まれていた銘。これによって制作した仏師の名や、制作年が判明した。 樹脂で再現された三尊像(側面から) 同じく正面。樹脂加工に関して、富山県高岡市の鋳物技術の助けを借りた由。 完成した樹脂製の仏像に、丹念な色付け作業を施す。(胸部および腹部) 座禅を組む足にも丹念な色漬け。なお台座には山岳や飛天などの須弥山(しゅみせん)世界を全体的に描いてあることが判明した由。 樹脂製の三尊像に色付けされ、光背や天蓋(てんがい)までもが忠実に再現された。きっと金堂内の静謐な雰囲気が感じられるはずだ。 だが果たして現代の先端技術が古代の最新技術を凌駕したと言えるかどうか。なぜなら仏像には、当時の人々の敬虔な祈りが込められているからだ。仏教伝来の遥かなる旅を思わずにはいられない。昨年訪ねた高野山付属寺院普賢院に収められた小さな仏舎利。あの清らかな釈迦の骨がシルクロードを経由し、遥々高野山までやって来た長い旅路を。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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