テーマ:世界への旅(365)
カテゴリ:旅、温泉
~日月潭の文武廟 その1~
台中市の山の中に、日月譚と言う人工湖がある。戦前日本が造ったダム湖だ。その畔の廟がダム湖に沈むため、山上の見晴らしの良い場所に新たに建造したのがこの文武廟。これは「前門」を背後から見たところ。門の前に広がる湖が日月潭。台湾随一の風光明媚な景勝地とされている。広々として確かに眺めは良かった。 巨大な門の上部中央には「文武廟」と書かれた扁額(へんがく)が見える。 廟の入口、向かって左側には牙を剥いた獅子が鎮座している。 日本のお寺とはかなり雰囲気が違います。ここは道教の寺院で、古代中国の英雄などを祀っています。 廟は前段、中段、後段の3つで構成されています。丘の頂上まで石段を登ってお参りします。 天井の高さに先ず驚かされます。鮮やかな色彩にもビックリです。そして祀られた英雄のおどろおどろしい姿に二度ビックリ。剣を手にしている姿を見ると、こちらは武の英雄でしょうね。 豊かな髭を蓄えた人物は、穏やかな表情から「文」の守り神なのでしょう。中国人は古来より文武の英雄などを、自分に霊力と幸福を与えるとして信じて来たのです。即ちそれが道教の本質でしょうか。 とても煌びやかな天井です。廟は全て信者からの寄進で建てられています。寄進はきっと善を積む行為とされたのでしょう。 ここにも色んな聖人が祀られています。尊像の前にも線香の煙が絶えません。お参りするのはもちろん、この線香も「ただ」。つまりは全てが寄進によるものなのです。 武の神の表情はあくまでも厳めしく、そして文の神の表情はあくまでも穏やかです。 石段の踊り場には、見事な石の龍が彫られていました。龍は権力の象徴で、爪の本数が5本の龍は皇帝しか用いることが出来ません。また「玉」を握っているのも同様、皇帝の権威の象徴なのです。 やがて2つ目の門が目の前に。これも巨大かつ煌びやかな仕様です。 これは中段の廟かな。まだ上に建物が見えるので、きっとそのはず。それにしても巨大ですね。 中国人(と言っても「中国」と言う名前と概念はごく近年のもので、古来「国」もそれを建てた民族にも変遷があります)と日本人の宗教観、国家観、世界観はまるきり違いますね。当然善悪や価値観も同様です。いわゆる「中華思想」は漢民族が世界の中央を治めると言う思想で、今なお生きているとも言えます。日本人との感覚のずれの根源でしょうか。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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