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マックス爺のエッセイ風日記

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2019.11.02
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カテゴリ:旅、温泉
~山寺立石寺奥の院までの1100段の石段~

  

  さて午後からは山寺立石寺に参拝し、奥の院までの石段1100段を登る。午前中「もう一つの山寺」で拾った杖が大いに役立った。立石寺は慈覚大師円仁(じかくだいし・えんにん)が開山したと伝わる天台宗の古寺。彼が開祖と伝わる寺は、岩手県平泉の中尊寺や宮城県松島の瑞巌寺、青森県恐山の菩提寺など有名な寺ばかりだ。

              

 慈覚大師円仁は延暦13年(794年)下野国(今の栃木県)に生まれた。生家は壬生氏。若くして延暦寺で学び、最後の遣唐使船で唐に渡り五台山まで歩くなどして仏教を学んだ。最澄、空海らと共に入唐八家の一人。帰国後は関東、東北の寺約540ケ寺の開山もしくは中興に当たったとされる。立石寺開山とされる貞観2年は66歳で天台座主。当時の66歳はかなりの高齢。要職にもあり、到底無理な話だ。高僧開山の伝えは寺格を上げるために良くありがちな話。

  

 元禄2年(1689年)の旧暦5月26日。芭蕉は弟子の曾良と共にこの地を訪れた。いわゆる「奥の細道」の旅だ。この地で詠んだ句が     閑や岩にしみ入蝉の声
「閑」はしずけさではなく「しずかさ」。「入」は「いる」で送り仮名はない。新暦だと7月13日に当たり、鳴いていたセミの種類は恐らく「ニイニイゼミ」だろうと言うのが地元の研究者の説だ。

             

 松尾芭蕉は寛永1年(1644年)に伊賀国(三重県)に生まれ、元禄7年(1694年)旅の途中50歳で死去する。奥の細道を旅したのは45歳の時で、「奥の細道」は旅を終えてから5年後に完成したとされる。また書かれたことの全てが真実ではなく、虚構も交え文学的に構成してある。

  

 弟子の河合曾良は慶安2年(1649年)信濃国(長野県)に生まれ、宝永7年(1710年)旅行先の壱岐島(長崎県)で死去した。享年61歳。師の芭蕉と旅した「奥の細道」を歩いたのは40歳の時で、芭蕉の死後は諸国巡検使として幕府から召し抱えられ、壱岐へも巡検使としての旅であった。師の芭蕉よりも老けて見えるのは髪型のせいだろうか。曾良も「奥の細道」でたくさんの句を詠み、「曾良旅日記」を著している。

             

 奥の院までの石段は1100段。普段全く運動をしていない私にとっては、結構な運動量ではあった。息が詰まり、胸がつかえ、足がガクガクした。所々で休憩を取り、お茶も飲んだ。10年ほど前までは仙台市の自宅から53kmほど峠道を走って山寺へ来、ついでにこの石段を最上部まで登っても疲れを知らなかった私だが、今はヨレヨレの後期高齢者そのものだ。月日の流れは何と残酷なことか。

  

 ここが奥の院。もっと続きがあるのかと思っていたのだが。ここなら2度ほど来たことがあった。振り返ると眼下には門前町が見え、遥かに奥羽山脈が連なっていた。紅葉にはまだ少し早い、そのいずれかの峰の間を縫って私は自宅から3度ほど走って来たのだ。あんな冒険はもう出来ない。若かりし日の素晴らしい思い出だ。

        

 下りの石段は慎重に降りた。緑内障のため見えない部分がある。いわゆる視覚欠損で、特に下りに踏み外す危険性が高い。この時も拾った枝の杖が大いに役立ってくれた。途中「見晴らし台」に寄ると、聞き慣れない言葉。どうやらタイの女優がインタビューに応えて「体験記」を話しているみたい。

  

 これが舞台からの眺め。目の前に見えるのが奥羽山脈。M仙人はこの辺も踏破している猛者。私が走った二口峠はこの山のもっと右手に当たる。

            

 ネットから借用した雪の山寺の写真を載せておこう。これは中間地点で、奥の院はまだまだ先だ。

  

 何とか麓まで降りて来た。やれやれ自分でも良く頑張れたものだ。予定より1時間も早く着いたため、乗る予定の電車を早めて駅へ向かった。ホームに立って待っているうち、膝が震え出した。疲労の限界。もし杖が無ければもっと大変だったに違いない。その夜、睡眠中に不整脈が出た。久しぶりのことだ。鼻水で咳が出た。風邪でも引いたのだろうか。2日後、腰がガクガクして体が揺れた。ハイキングの後遺症は大きく、山陰への旅が心配になって来た。

                 

 これで総集編は完結です。残った写真で別途特集を組む予定です。引き続きどうぞお楽しみに。バイバイぽっ





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Last updated  2019.11.02 05:25:26
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