2937236 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2020.09.02
XML
カテゴリ:生活雑記
~未明の悪夢~

  

 暗い道を妻が歩いて行く。どこへ行くのと聞くと、家を出て友達の家へ行くとのこと。不思議に思ってその訳を尋ねると、その前に天気予報が心配だと妻。足元は泥んこ道。おまけに小雨も降って来た。これは気持ち悪いことになりそうと思った途端に目が覚めた。点けっぱなしだったテレビでは天気予報の最中。気象予報士が台風9号の進路の解説中だった。妻の声と思ったのはTVの音だったのだ。
                     
           

 散歩中などの途中、妻が自分だけ勝手な方向に行くようになったのは果たしていつ頃からだったか。多分妻が40代半ばには起きたように思う。そんなことが転勤の先々でも起こり、次第に気持ちが通じ合わなくなったと感じた。あの頃から妻は認知症が始まったのだろうか。ようやく長年放置していた故郷の地に家を建て、東北へ転勤もして落ち着いた老後を送れそうと安心したのもつかの間だった。

  

 そんな日が一変したのは妻の父が死亡した日から。父に溺愛されて育った妻の精神が、その死で一度に壊れてしまったのだろう。私の首を絞めようと私の2階の部屋へ忍び寄って来たのはその当夜だった。一時的だったにせよ、精神に異常を来したのは明らかだった。翌朝の早朝に妻が裸足で家を飛び出して行ったと話したのは、ちょうど帰省中だった長男。その様子に驚愕したようだ。

              

 妻が私がお金を盗ったとか、どこそこに愛人がいると言い出したのはその6年後くらいだったか。そして自分名義のお金は全部自分のものとも言い出した。結婚後40年もの間、家計はすべて妻がやりくりし、退職金も妻が処理した。「年金分割」法が成立すると、離婚したら私の年金の半分がもらえると思っていた。そうではないよといくら説明しても分からない。私は体調を崩して不整脈が出始めた。

  

 激しい発作に苦しむ私の様子を目の当たりにして、妻は離婚を決めたようだ。そして高校時代の友人に相談して弁護士を紹介してもらい、家庭裁判所での離婚調停が始まった。金の亡者と化した妻はさらに民事裁判をしようと考えたようだ。体調が悪い私は耐え切れなくなり、「手切れ金」を支払い調停に従った。あれから3年。私の意識の中ではまだそのことが後を引き、こうしてまだ時々悪夢を見る。

              

 人生とは何と残酷なことだろう。こうして齢を取って独り暮らしをしていると、一層そのことが身に沁みる。しかし悔いはないし、人生の良い勉強をしたとも思う。苦しい思いをしながら夜学で学び、試験を受けて管理職となり、全国を異動する転勤族となった。家族にはずいぶん苦労をかけ、上司のパワハラなどで苦しみもしたが、全ては勉強と思えるまでになれた。時々まだこうして悪夢を見ることはあっても。<続く>





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.09.02 00:08:34
コメント(6) | コメントを書く
[生活雑記] カテゴリの最新記事


PR


© Rakuten Group, Inc.
X