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マックス爺のエッセイ風日記

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2021.03.06
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カテゴリ:文化論
~ウポポイの空疎な理念と展示物~

   国立アイヌ博物館ウポポイ  

 連日苦しみながらもアイヌの話を書いている。こんな内容にも関わらず、毎日たくさんの方が訪れて下さることに、心から感謝したい。もしも私が頑張って書けているとすれば、それは名も知れない大勢の読者のお陰だと思う。私は研究者でもないただの老人だが、何とか乏しい知識を駆使して連日悪戦苦闘している。我ながら不思議な体験。この話を書き始めた端緒は、たまたま観たNHKの番組だったのだが。

   ウポポイの敷地と航空写真

 ウポポイは7番目に出来た国立博物館。国立東京、国立京都、国立奈良、国立九州が地域別の博物館とすれば、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)は考古学を含む日本史と日本の民俗学専門であり、国立民族学博物館は世界の文化人類学を専門分野とする博物館で、両者とも総合大学院大学の大学院を有する研究機関でもある。それに比してウポポイは出来立てホヤホヤの若い博物館だ。

     広場で行われるアイヌの舞踊  

 「民族共生象徴空間」の別称があるウポポイが行う事業は以下の通り。1)展示、調査研究機能。これは当然だが果たして十分な展示と研究は出来てるのだろうか。2)文化伝承・人材育成機能。これを国立博物館が行う意義が良く分からない。3)情報発信機能。これも違うような気がするが。4)体験交流機能。国立博物館がそこまでやるかねえ。5)公園機能。これを打ち出すならもう観光施設だが。6)精神文化強調機能。国立機関がアイヌ民族の精神性に肩入れするってどういうことだろうね。宗教儀式だってきっとあるはずだが。

   
         

 国立歴史民俗博物館(歴博)と展示の一部。歴博の展示は展示物の採取場所、歴史的な事実とそれが作られた時代背景などの説明が克明に記されている。学術機関として当然だ。まして国立の博物館で、大学院を有するのだから。

  
           

 国立民族学博物館(民博)とアイヌ展示の一部。チセ(アイヌの小屋)は当初のものがその後ぼやのために燃えたようで、茅葺の屋根がまだ修復されていない状態だ。だが展示物はすべてアイヌが使用した本物ばかりで、アイヌ文化の本質に接することが出来る。また同館では動画による世界各地域の民族の文化を知り、展示物の大部分は直接触れることが可能。最新技術により画像や音声でのマルチメディア案内もある。

    がらんとしたウポポイの展示場

 それら先発博物館の展示物に反して、ウポポイの展示物の評判はあまり良くない。先ず絶対的な量が少なく、しかもアイヌが使用した本物がほとんどない。アッツシなどの民族衣装もほとんどが新しく作られたもので、生活感のないものばかり。実際に観覧した方の感想を聞くと、理念ばかりが先行して抽象的で空虚な印象を抱いた。これでは「ただの空間」だ。

           

 第一アイヌは日本の先住民ではないし、人類学や分子生物学上の研究もまだ十分には進んでいない。それを3万年も前からアイヌがいたと言う根拠は何だろうか。もちろん誰にも先祖はおり、3万年前に繋がる先祖はいる。だが民族としてのアイヌがいつどこで発生したかは解明出来ないはず。ウポポイはそれらの疑問にどう答えるのだろう。私には「アイヌ新法」制定とこの博物館建設の動機に無理があったとしかどうしても思えないのだが。<続く>





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Last updated  2021.03.06 07:23:05
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