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マックス爺のエッセイ風日記

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2021.09.02
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カテゴリ:生活雑記
~マックス爺ヨタヨタ走る~

            

 8月末のある朝。私は久しぶりに走ってみようと決めた。連日の庭仕事と畑仕事で体はクタクタ。疲労のせいで睡眠も浅かったのだが、長年走って来たランナーの直感で多分大丈夫と踏んだ。走るのはきっと3か月ぶりくらいじゃないか。それにその日は案外涼しいと感じて、ランパン、ランシャツ姿になった。ただし手にはスポドリが入った小さなペットボトル、頭には濡れたメッシュの帽子、首には濡らした「冷却用鉢巻き」。こんな装備をするだけで、楽に走れるはず。

   サンゴジュ

 ところがそう甘くはなかった。ほとんど毎日が家での自粛暮らし。やるのはちょっとした家事とブログの更新。そして草取りや庭仕事も運動と言うよりは、使う体の部位の偏った労働で、スポーツとは異なる。つまり連日こんな暮らしで、体が凝り固まっていた。足の筋肉も心肺機能も衰えがち。たちまち足に来、ノロノロと歩くようなスピードでしか走れない。

          タカサゴユリ    

 それでも良い。いつもはほとんど使っていない筋肉や機能を使えるのだから。造園業者の庭に何やら赤い実。あれはガマズミではなく多分サンゴジュだろう。T山への裏道を道なりに走る。信号機などはない自然が残っている郊外。目印になるのは県立高校くらいか。そしてその先の丘陵地には団地。小川の左岸には営林署の森。政宗公が青葉城を敵の手から護るため残した原生林の名残だ。

  

 橋の下まで来て驚いた。川幅5mほどのZ川が太古から刻んだ深い谷。団地と地下鉄の終点を繋ぐため新たに架けたH橋。その下からそれぞれの方向に向かう新道と階段が作られ、古い裏道の拡幅工事が進んでいた。橋の架設は50年も前からの都市計画。ようやくそれがつい最近実現したのだ。ただ、イチリンソウやニリンソウ、ヤマブキなどの花が咲いていた元の河道は消えた。それがちょっぴり残念。

            

 ところどころに咲いているタカサゴユリを眺めながら進むと、団地の下の小さな水田がわずかに黄ばんで見えた。山間の谷地の田圃。こんな場所でもまだ農業をしてる人がいるのだ。今では貴重な都会の片隅の「ビオトープ」。田んぼの上をアキアカネが飛び回る季節が、間もなくやって来るだろう。 
 
    秋きぬと目にはさやかに見へねども 風の音にぞ驚かれぬる  藤原敏行朝臣

    キンミズヒキソウ(金水引草)

 東北自動車道の手前から左折し、巨大な団地裏の坂道を登る。特段息苦しさは感じない。そんなことが起きるほどのスピードじゃない。今はこれで十分。これで満足。坂を登り切るとT山の美しい三角形の山容が木々の間から現れた。空が澄んでいる。空気がひんやりしている。わが家の周辺とは明らかに異なる気温。やはり豊かな自然が気温の上昇を抑えているのだろう。

                

 坂を登る途中、地面に落ちている花びら。これはクズ(葛)の花の残骸。葛は野草だが、この根っこに含まれるでんぷん質が葛湯や、葛餅や漢方薬の葛根湯(かっこんとう)にもなる。花はとても甘い香りがし、少し前まで近所にも生えていた。だがその小さな藪は切り開かれ、今では3棟の細長い住宅に変わった。ここ数年で空き地と言う空き地に、小さくて新しい家が次々建った。

     

 坂を登り切ると下り。途中から左折して昔の近郊電車の軌道跡の径に出る。草に覆われた道端の湧き水を目で追う。上のような小川と違い、団地のある丘陵から染み出たもの。暫く走ると草むらの切れ目に湧き水が見えた。以前子供たちがザリガニ釣りをしていた場所。雨上がり後の少し濁った水に、帽子と冷却用の鉢巻きを浸す。走っているうちに乾燥し、すっかり温まっていたのだ。

             クズの花    

 暫く行った三叉路を直進してさらに下り坂を走る。足元にクズの花びら。樹上を見上げるとわずかに残ったクズの花。とても懐かしいものに出会った感じ。まだ元気な現役ランナーだったころ、8月の暑い盛りの宮城UMCの恒例行事「薬莱山遠足(とおあし)」。わが走友会のコースは55kmで、途中富谷市郊外の二の関周辺でクズの花が迎えてくれたものだ。あの厳しかった真夏のラン。

    緑陰の道

 やがて鬱蒼とした街路樹の道に。歩道も広くて安全。ひんやりとした木陰が心地よい。緩やかな下り坂が1km以上続く。楽に走れて最高。信号を真っ直ぐ進み国道へ。そこから左折し途中から旧国道へ。神社脇のきつい登り坂もかつては良く走った。帰宅直前の地獄だった。無事路地奥のわが家に到着し、勝手口から入る。ああ良かった。最後まで何とか走れ、無事帰宅出来て。<続く>





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Last updated  2021.09.02 11:29:27
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