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マックス爺のエッセイ風日記

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2021.12.20
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~手持ちの資料から~

              

 今日は手持ちの資料から幾つかの画像を載せたいと思う。最初は平成3年(1991年)10月に沖縄三越で開催された「明治の沖縄~鳥居龍蔵博士撮影写真展~」のパンフレット(上)から借用した。当時私は沖縄に赴任した3年目で、高校3年の長男と2人で頑張っていた時期。パンフレットによれば展示された写真は66点だが、そのうちパンフレットに載っているのは4点のみだ。

  

 鳥居龍蔵博士(1870-1953)は東京帝国大学で人類学を学び、アジア各地で調査する傍ら東京帝大などで教鞭を執った。この展示は博士が明治29(1896年)と明治37(1904年)の2度に亘って沖縄を調査した際に撮影されたもの。その時の収集品は後に国立民族学博物館に移管された。

 不思議な縁だが私は沖縄赴任の直前に勤務した徳島県鳴門市で「鳥居龍蔵記念館」(博物館)を訪れたことがあり、同氏が日本の人類学や考古学の先達であることを知っていた。また収集品が移管された国立民族学博物館(大阪府)にもこの数年後に勤務することとなり、その縁で沖縄へも何度か訪れたことがある。素人の私がたまたま日本の古代史や考古学や文化人類学(民族学)に強い関心を持っていたのも何かの縁だと思い感謝している。

    

 タイトルには「琉装の老人」とあるが、風貌からするとかつての士族(さむれー)と思われる。「琉球処分」で「沖縄県」となった後も、沖縄に対しては内地より緩い税制が適用された。それは「禄」を失ったかつての貴族や士族の不満を和らげるため。だが食えなくなった多くの士族たちは首里から地方へ移り住み、慣れない農業などで食い延びたと聞く。この老人たちには一種の威厳がまだ残っている。

          

 タイトルには「市場(マチ)の女性たち(首里近辺)」とある。市場のことを現地の言葉でマチグァーと言う。グァーは接尾語で東北弁の「こ」に相当するイタコ(死者の霊を呼ぶ女性)の「コ」や嫁っこの「こ」と同義。因みにイタコに相当する琉球語は「ゆたぐぁー」。このうち「ぐぁー」が東北弁の「こ」に当たる。意味も言葉の響きも同一だと私は直感し、琉球語は古代の日本語からの転化と判断した。イタコは青森の恐山で健在だし、ゆたぐぁ―も現代沖縄でまだ生き続けている。

 さて首里はかつての王都で人口も多く、明治後期も賑わって商売が成立したのだろう。首里近辺にも農村があり、新鮮な野菜が届けられた。また鮮魚のことを現地語で「イマユー」と言う。イマは「今」で獲れたての意味。ユーは魚(うお)の変化。日本語の古語でも「イユ」や「イオ」と言ったようだ。写真には首里崎山町周辺の雰囲気が残っているように感じる。

  

 タイトルには「路上の女三代」とある。祖母は草履を履いているが、母と子は裸足のままで足は黒い。母親の懐には赤子がいる。着衣は琉球絣(かすり)のようで、貧しくなく、道路は広くて清潔だ。英国人女性イザベラ・バードは当時の日本、朝鮮、中国(清)を何度か旅しているが、朝鮮の不潔さには音を上げている。大便を道路に放り、それを犬が食べていた。その不潔な習俗は日本が併合するまで続いた。

                 

 2つ目の資料は「歴史をひらく琉球文化秘宝展」(那覇市、琉球放送、沖縄三越主催)で、サブタイトルは「那覇市制70周年記念企画」となっており、冒頭の「写真展」と同時に沖縄三越で開催された。これはその際に購入した図録の表紙で、同展では各種の文化財157点が展示されている。このシリーズではそのうちの一部を紹介することとしたい。

  

 朱漆花鳥七宝繁陀絵沈金御供飯一式。愛知の徳川美術館所蔵物を借用しての特別展示。琉球王朝時代、王国からの使者が十数回江戸城へ登城した。新将軍が就任したさいの慶賀使や琉球王が交代した際の謝恩使だが、その際の献上品の一部が将軍家から尾張藩主に下賜されたものが「徳川美術館」に保存されている。見事な琉球漆器で、地上戦があった沖縄にはこれほどのものは残っていないのだろう。

 今回はこの一品だけの紹介に止めたい。それにしても30年前に購入した図録を大事に保管し、こうして活用出来たことに感謝し、不思議な出会を喜びたい。

                       





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Last updated  2021.12.20 07:51:36
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