カテゴリ:ニュース・社会の動き
~北京冬季五輪の陰で~
始まりましたなあ、北京冬季五輪が、何食わぬ顔して。この大会は今年後半にある中国共産党大会で、3期目の長期政権を狙う習近平御大の権威付けの大会と位置付けられているそうですなあ。外交的ボイコットを宣言して政府首脳が行かなかった先進国も幾つかありました。ただ、中国の心証を良くしようと思って参加した国も多かったと思います。たとえ冬のスポーツなど無関係な国であってもね。 開会式の監督を務めたのは、中国で有名な映画監督の張芸謀(チャン・イーモー)氏。最新の技術と芸術性を巧みに融合させた見事な演出だったと思います。出だしからスキャンダルで躓き、監督を選び直した「東京オリンピック」よりはマシだったかも。時間を短縮したのも、新型コロナ感染症を抑えようとする中国政府の意思が強く働いた結果だったのでしょう。 ひょっとして聖火の最終ランナーとして登場するのでは、と噂された例の女子テニス選手はさすがに顔を見せませんでした。きっと中国も「恥の上塗り」を避けたのでしょう。だが至る所で「作為」が見られたのは確か。台湾の入場行進の際は、場内のスクリーンに習近平の顔が大写しになった由。場内の紹介は「中華台北」(チャイニーズ台北)だったのに、国内のTV放送では「中国・台湾」との紹介だった由。 今大会は何から何まで異例づくめでしたね。中国政府によるウイグル族などへの人権侵害に反対して、世界各所で抗議活動が展開されたようです。加えて中国と台湾間の緊迫関係や、ロシアとNATO加盟国との間の緊迫関係。フランスのマクロン大統領が急遽モスクワに飛んで、プーチン大統領と協議したほど。そして北京では習氏とプーチン氏が首脳会談。習氏はロシアを全面的に支持する旨表明した由。 東欧諸国 ロシアはウクライナ国境付近に12万人の軍を駐留中。ベラルーシとは合同で軍事演習し、約3万人のロシア兵を派遣中。アゾフ海を封鎖して、ウクライナ艦船の黒海への進出を阻止。NATO加盟国への天然ガス送付を止めると脅迫。アメリカはポーランドとルーマニアにNATO軍のアメリカ兵3千人を派遣。黒海に空母を展開。トルコのエルドアン大統領はウクライナを訪ねてロシアとの仲介を申し出。 中国選手団 北京近郊ではほとんど雪は降らない。そんな場所を冬季五輪会場として立候補した魂胆は、考えなくても分かるはず。スキーなどに不可欠な雪は、すべて人工雪で膨大な量の雪を降らせた模様。コロナを制圧し、夏冬ともに五輪を成功させたら習氏の権威は高まるはず。共産党の機関紙では歴代の長老たちが習氏の方針に賛成したとあるが、党が国よりも上位のあの国では、権力者が何とでも自由に書けるそうだ。 オリンピックが開かれないよりは、開かれた方が良いとは思う。だが、それで中国がウイグル族やチベット族、香港、内モンゴルそして法輪功に対して行っている弾圧や強制が消えたわけではない。そしてこの五輪期間中にも、中国機が台湾の防空識別圏内に侵入しているのも事実。それが中国の実態であり本質。持参したスマフォに中国が要求するアプリをダウンロードしたら、一体何が起こるのだろうね。 明かりが灯る通称「鳥の巣」 北京冬季五輪が失敗するよりは成功した方が良いと思うし、無事平和裏に終わってほしいと願う。だが問題は五輪後の展開。ロシアは虎視眈々とウクライナ東部への侵入を狙い、中国は念願の台湾支配を目論見、一挙に尖閣まで手中にしようと動くのを恐れる。中国は平気で約束を破る国。あの自由だった香港が返還されてわずか20年で、不自由で非民主的な都市と化した。今や死の国際都市だ。 たった1人での行進 東太平洋の米領サモアが1人の代表を派遣した。彼は裸だが、ちゃんとマスクを着けている。この勇気を心から称えたい。だが中国の独裁者や、その権力維持に力を貸したIOCのバッハ会長には「馬鹿野郎」と大声で罵りたい。競技はこれからが本番で、選手たちは祖国の栄誉と自らの勝利のために戦い続けるだろう。どうか健康で最後まで競技を全うしてほしい。心からそう願って止まない。 最後に、開会式場にいたプーチン氏。隣国ウクライナ選手団の入場の際は、目をつぶっていたそうだ。そしてロシアの番だが、プラカードもアナウンスも「ロシア」ではない。ロシアが国家的組織でドーピングを続行していたことが露見し、未だに「R0C」ロシア・オリンピック委員会のままなのだ。ただし、出場選手は全員疑惑が「白」だった人。きっと彼らはプーチン氏よりも残念だったことだろう。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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