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テーマ:「継母」奮闘記(289)
カテゴリ:今日の継子さん
普段、きぬは食事以外の全てを義母に面倒見てもらっている。
勉強も、その中に入る。 普段は義母に任せてある以上、手出し口出ししないのだが、 さすがに時計だけは…。 読めるようになってくれないと、人に指図されるまで何もしない、考えない、 きぬの依存も治りそうに無いので、教える事にした。 小学2年生になったきぬ。 しかし、足し算引き算もままならない状態なのに、授業で時計を習っても習得出来る筈もなく。 そんなきぬに学校もまた頓着することなく、授業は先へ先へと進んでしまったらしい…。 もう、家で教える他ない。 一時は義母に頼んだのだが、その日によって、やったりやらなかったりで、 極度に物忘れの激しいきぬは殆ど進歩しなかったのだ。 さて、努力の甲斐あって時間はほぼ完璧、分は5分、10分等のキリのいい数字も読めるようになったきぬ。 じゃあ、そろそろ12分とか、27分とか、半端な数の分数も読めるように…。 と思い、それまでのオモチャの時計から本物の時計を手渡して、勉強をさせる事にした。 まずはウォーミングアップ。 「4時55分にしてみて」 初めての本物の時計だし、判る所から始めたつもりが…。 「出来た!」 と見せられたのは、3時55分。 …まぁ、気持ちは判らないでもない。 私「4時55分と4時。どっちが遅い時間?」 きぬ「55分…」 私「だよね?じゃ、この時計、時間を戻したら、4時になるはずだけど…?」 言いながら、きぬの目の前で時計の針を戻す。 時計は3時になった。 私「何時になった?」 きぬ「3時…」 私「じゃあ、さっきのは4時55分じゃなかったんだね。4時55分、作って?」 きぬ「…」 私「まず、4時を作ろうか。その後で、55分まで分針を進めれば良いわけだから」 きぬ「…出来た」 …見せられたのは、9時45分だった。 どこをどうしたら、これが4時55分になるのだろう…? 私「…これ、何時だと思う?」 きぬ「……9時45分」 私「だよね?じゃ、4時55分、作って?」 次に見せられたのは、1時10分だった…。 15分程、このような会話が繰り返された。 そうか。55分なんて、終りの方の分数を指定したのがいけなかったか。 もっと早い時間にしなくちゃ。 私「じゃあね~。4時30分!にしよう!」 私の言葉に、きぬもゆっくりと反応する。 やばい。だれてきてる。 きぬ「…出来た」 見せられた時計は、3時30分を…。 もう一度説明して、やり直させた結果は、10時40分…。 私「…違う。…じゃあ、4時10分作ってみて?」 きぬ「…はい」 なんとか、今度は合っていた。良かった~。 私「おお!正解だ!じゃ、今度は、4時15分!」 5分先に進ませるだけだから、楽勝よね~。…と、思っていたら。 きぬは、無表情で時計を戻し始めた。 私「ちょ、ちょっと待て!10分と15分、どっちが遅い時間?」 きぬ「15…」 私「だよね。じゃ、時計を進めなきゃいけないじゃん。戻しちゃだめだよ」 きぬは小さく頷いたが、再び戻し始める。 私「いや、だから、戻しちゃ駄目だよ。時計の針をね…」 言いながら、時計回りにまわす。 私「こうしたら、時計は進むのよ。で、」 今度は反時計回りに…。 私「こうやっちゃうと、時計は戻るの。判った?」 きぬは、硬直。 あ~。もう駄目っぽい…。 私「あのさ、15分にする為には、長い針はどこを指せば良いのかな…?」 きぬ「…」 私「あれ~?判んなくなっちゃった?」 きぬは、長い間固まった後、ゆっくりと、少しだけ頷いた。 駄目か…。 私は諦めて、勉強を切り上げた。 きぬにはちょっと難しかったらしい…。 取り敢えず、明日は本物の時計で時間を読ませる所から始めよう…。 一応、ご飯の前や、事ある毎に時計を読ませるようにはしていたけれど、自分で時間を作るのは難しいか…。 でも、これが出来ないと、計画的に行動する事が難しいし…。 大変だぁ…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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