シリーズ『10年前の投資家を振り返る』こなつさん
愛犬こなつのバリュー株式投資http://konatsu368.blog.fc2.com/バリュー投資ブームを通じて昨年までバリュー投資を行った投資犬です。残念ながら亡くなってしまい、ブログは終了となりました。バリュー投資の歴史を身をもって知っている、とても貴重な存在でした。ライブドアショック前までの小型株暴騰期を通じたバリュー投資ブームの最中において、切磋琢磨して学んでいった多くのバリュー投資家の一人です。(正確には一匹ですが)僕はバリュー投資ブーム当時からバリュー投資家たちとは少し離れた場所から違う視点で投資を行っていましたが、バリュー投資家さんたちと共に歩んできましたので様々なバリュー投資家さんの名前は拝見していました。教える側と教えられる側に分かれる今とは違い、当時はバリュー投資を始めた時期が殆ど一緒だったために、皆で仲良く一緒に切磋琢磨していったものです。信じられないかもしれませんが当時のバリュー投資は信じられないくらい広義で、バリュー投資にはグロース投資も含まれていました。何故かグロース投資を行っている投資家さんもバリュー投資家さんと意気投合して仲良く和気藹々と投資を楽しんでいました。頑固なバリュー投資家さんでも、グロース株投資を成長バリューなどと持て囃していたものです。投資している銘柄に価格以上の価値があると判断すれば、それがバリュー投資になるという主張のようでした。(それならファンダメンタル投資家みんながバリュー投資家じゃないか、と思いますが僕は別にその考えを否定しません)グロース投資家には大膨張さんなど今でも再び活躍されている方やokenzumoさんなど今では見なくなった方も居ます。しかしライブドアショックで大暴落した成長株がリーマンショックで更に大暴落、マザーズ指数などの成長株指数が10分の1にまでなってしまうような環境下において、グロース株投資家は壊滅状態でした。通常、グロース株投資家は上昇相場で喝采されますが下落相場では批判されます。そしてグロース株投資に対して否定的な意見を持つバリュー投資家が生き残り、徐々にグロース株投資とバリュー株投資は決別していきました。そんな状況において、紆余曲折視ながらバリュー投資とともに歩き続けてきたこなつさんは、貴重な存在でした。それだけに「こなつ犬」さんという存在が無くなったのが惜しまれます。こなつさんのブログは写真を多用するという、当時は珍しかったものでした。しかもその写真のほとんどが犬の写真です。投資家のブログにはとても思えませんが、自虐ネタを交えて最後に「キャイーン!」と大きな赤文字で〆るこなつさんは、活況している上昇相場ではもちろん、長らく続く下落相場で疲弊しきっている中においても、投資家皆から愛されていました。こなつさんのブログを読むと、犬踊り、などという意味不明の言葉も不思議と楽しく読める、そんな気持ちの余裕ができたものです。犬の視点から視ているブログの内容からふざけていると思われるかもしれませんが、こなつさんは真面目に相場と取り組んでいました。謙虚に、愚直に、日本株一本で。紆余曲折ありましたがバリュー投資の看板は下ろしませんでした。こなつさんのブログは膨大なので、どこから読んで良いか分からず拾い読みする人が多そうですが、年によって内容が大きく変わってきていますのであまり良い印象を受けないで読むのをやめる読者も多いのではないかと思います。非常に勿体無い。昨今のブログにはない、『長期下落相場を通じて悩みながらも下火になったバリュー投資と向き合おうとする真面目な部分』は埋もれさせておくには余りに惜しい。拾い読みするのであれば、バリュー投資に対しての考え方が分かる2006年が一番オススメです。下落相場に突入しているという指摘がチラホラ見えてきましたが、是非2006年の下落相場を悩みながらも真面目に取り組んできたこなつさんのユーモアまみれの心の叫びを読んで欲しいです。晩年の経済(経済学)に対する考え方については、僕と非常に近いところがあります。考え方は保守的なところがあり、経済情勢に振り回されながらもバリュー投資の看板を下ろさなかった、真面目にユーモアたっぷりでバリュー投資と向き合ってきた、そんな投資犬です。なかなかに感慨深いですね。