「この成長があと5年続くと仮定して」
どんなに精度よく分析したとしても、「この成長があと5年続くと仮定して」というような部分に致命的な不正確が現れます。その成長ペースは、外部環境などの影響を受けて見込みが大きく変わってきます。企業運営に大きく失敗していなかったとしても、その成長ペースは時には3年も持続しなかったり、時には10年以上持続したりします。3年か10年かは取り返しのつかない深刻な違いであって、ファンダメンタル分析の精度など一気に吹き飛んでしまいます。ファンダメンタル分析の見込み通りにならない時に、ファンダメンタル投資家が業績動向を先行する株価変動の先回りして儲けるのは至難の業です。 成長ペースの皮算用を間違えるという取り返しのつかない過ちをしないために、「今後成長を続けると思われている企業の株を買うのを避ける」、という手法が時に優れたパフォーマンスを得ています。しかし、その優れたパフォーマンスを得ることができるという企業の絞り込みの条件が少し変わるだけで、とても大きな期待値の変化が起きます。ここがファンダメンタル分析の致命的な限界です。限界の範囲の中で分析をしている、という認識が欠けていると、多くの場合は慢心から失敗します。