最悪のケースとは何だろう
面白い記事を見つけたのでご紹介。ある医師がエンジニアに寄せた“コロナにまつわる現場の本音”https://eetimes.jp/ee/articles/2003/25/news053.html新型コロナウイルスの影響で暴落した世界中の株価が、徐々に上昇している。実体経済の悪化を先行した株価の下落が、今度は世界経済の好転を先行して上昇しているのだろうか。中国関連の経済影響が欧米に波及し、今度は主体が日本に移ってきた。最初は中国の工場停止によるサプライチェーンの途絶えや、インバウンドで潤っている産業のダメージばかりが着目されていた。今では日本の経済活動の冷え込みによるGDP低下が騒がれ始めている。最初にとりだたされていたのは、人混みのできるイベントの中止や、旅行などの取り止めによる影響が主だった。今は外出自粛による経済活動と消費マインド全体の冷え込み、そして、連鎖倒産懸念から金融不安へと移ってきている。着目するべきは生産能力の低下だ。今まで日本はデフレで苦しめらえていたが、それは需要が供給に対して小さいからだ。それが一転、生産能力の低下で供給が需要に追い付かなくなる事態が生じる恐れがある。結果、物価が上昇するが、しかし、給料が増えるわけではない。一時的にはスタグフレーションとなる恐れもある。今回、政府は大規模な財政政策をとれない。今までデフレ脱却を優先してこなかったツケで、労働人口低下を伴い生産能力が低下してきているからだ。外国から移民を増やすか女性や高齢者の社会進出を促進させなければならない。しかし、今回の新型コロナウイルスの影響は、「移民の受け入れ」「女性や高齢者の社会進出」を促進できない。コロナの恐怖が世界に蔓延しきった今、地球規模で急速に恐慌への突入懸念が広まりつつある。もしくは、既に恐慌に突入しているのではないだろうか、そんな見方をする人が増えてきている。今回、資金繰りが悪化している多くの日本企業が倒産するだろう。特に、体力のない中小零細企業の倒産件数の増加は、コロナウイルスの影響が延びれば延びるほど顕著に表れてくるのは間違いない。そもそも消費税の増税の影響が最も大きかったのが中小零細企業だ。消費税増税の影響は多くの人が想像していた通り、政府の目論みよりも大きかった。この影響は決して短期的なものではない。非常に長い間続く。5%から8%に消費税を上げた時は、中期的に、東日本大震災より大きな悪影響を日本経済は受けた。今回の8%から10%への消費税増税でもそれに近いダメージを受けている。その直後に今回のコロナ騒動だ。多くの中小零細企業にそれを乗り切る体力がない。それではこれからの株価推移はどうなるのだろうか。多くの投資家はそればかり気にしている。当然、長年の金融緩和政策により膨れ上がった時価総額の中で、株価推移が実体経済に与える影響を心配しているのだ。既に株式市場は実体経済を反映していない。株式市場が実体経済に近づくというのなら、長期的な金融緩和政策は無意味になる。今、日米の中央銀行が株価を強烈に買い支えているのが無駄に終わるなら、それは単なる富の移転だ。強烈な格差拡大政策と言える。それを理解しているかどうか、投資家一人一人に問うてみたい。楽観的なケースを思い描くのは簡単だ。もうずっと長い間、株式市場は多くの非常事態を乗り越えてきた。100年に1度の経済危機だと言われたリーマンショックも全世界の金融緩和で乗り越えてきた。銀行が不良債権まみれで確実にハードランディングが起こると言われ続けた中国も、気づけば随分体力が付いてきた。今回も同様に乗り越えられるだろう。反転するのがいつか、それが分からないだけだ。日本にとって最悪のケースは何か。多くの知識人が新型コロナウイルスが収束せず、経済被害が大きくなることだと言っている。僕は少し違う。最悪のケースは、このタイミングで都市機能が欠損するような大きな震災が起きることだ。地震が一番被害が大きい。日本は大きな地震が頻繁に起こっている。このタイミングで基礎的なインフラが壊滅するような巨大地震が起きるのが最悪のケースだろう。何も首都直下型地震に限った話ではない。震源地が北海道でも沖縄でも、日本は強烈な被害を受けることだろう。世界からの物資供給が行えず、国内で賄わなければいけない。今の政府にそれを処理できる危機管理能力は期待できない。アベノミクスと呼ばれた期間、日本は猛烈に潜在供給力を低下させ続けてきた。相対的な国力低下は目をみはるものがあり、「人材力」低下は甚だしい。今の政治家には、致命的に国家観がない。日本国をどうしようという確たるビジョンがない。それが今の政府であり、現在の政策だ。日本にとって最悪のケースはもう一つある。新型コロナウイルスの免疫が人体にできず、そして、新型コロナウイルスの深刻な後遺症が後になって判明することだろう。今の日本政府は、医療崩壊を防ぎつつ、多くの国民に新型コロナウイルスの免疫を付けることを目論んでいる。その目論見が外れた時、残念ながら日本政府にその深刻な事態を解決できる対応能力はないだろう。2歩先に視野を向けると、日本は本当に悲惨な状況に置かれている事が分かる。慢性的な悪性インフレに長期的に悩まされることだろう。インフレは形を変えた税金だ。その税金に、日本人は長期的に悩まされることになるだろう。しかし、日本政府は、信じられないかもしれないが、より直接的な税金徴収を行うことだろう。もっとも劣悪な税金の取り方は、実質的な消費税増税だ。当然名目は変えるだろう。信じられない?僕はその未来が来る可能性が高いと確信している。いま、僕は日本の未来に絶望している。日本の長期的な国力を低下させるのに最も有効な政策は何か。それに非常に近い政策が出される可能性が高いと思っている。日本の明るい未来展望がどうしても描けない。去年まで、僕は、日本の明るい未来に投資をしてきたんだ。ずっとだ。みんなが悲観的な中で、僕だけは楽観視してきた。本来、僕は楽観主義者だ。誰か僕から悲観的な考えを消し去ってくれ。「心配しすぎだよ。日本はそんなに深刻な状況にない」と言ってくれ。今のところ、僕が予想した未来にどんどん近づいてきている。なんとなく、見えてくるんだ。良くない未来が。