安倍元首相に対しての無関心
夜勤前の仮眠を取り、リビングに降りると、安倍首相が撃たれたとのニュース速報がテレビで流れていた。「大変!安倍さんが撃たれたって!」そう嫁さんから聞いた。状況は瞬時に把握したが、自分でも驚くほど何も感じなかった。ブログやツイッターなどでは「余りのことに言葉も出ない」「信じられない」「許せない」「ショックで何も考えられない」「こんなことは許されない」という言葉で溢れていた。しかし、僕は何も感じなかった。意外かもしれないが、僕はかなり感受性が豊かな方だし、共感性も強い。「たいへん!あべさんがうたれたって!」何が起きたのか信じられなかった、という事はない。状況を把握した。その上で、何も感情が湧かなかった。あぁ、僕はこの人に対して全く興味がなく、無関心なんだな、負の感情を含めて、この人には何も感じていないんだな、と思った。過去関連記事馬鹿が辞めた | バリュー投資に騙されるな! - 楽天ブログ (rakuten.co.jp)安倍元首相というと、投資家ではアベノミクスを連想する人が多いと思う。ただ、僕の理解では、アベノミクスの3本の矢では1本しか機能していなかった。金融政策拡大で、それは日銀の黒田総裁が推し進めた。本来は政府が進めるのは財政政策であり、財政政策と金融政策は車の両輪に例えられる。両方とも進めないと車は前には進まない。片方だけでは前に進まないで曲がるだけだ。アベノミクスの1本目の矢であるべき財政政策は拡大せず、果たして車は片輪で進めなかった。アベノミクスで何が起こったか。それは、株式市場の大暴騰だ。国内外の日本株投資家は資産を膨張させた。その間、日本人の一人当たりGDPは減少を続け、相対的な国力は低下した。何もしなければデフレは脱却できた。しかし消費税増税によりデフレ脱却は果たせず、さらに安倍政権下で2度目となる消費税増税が追い打ちとなり、確実なデフレで経済は長期低迷することとなった。何故消費税を増税したのだろう。自民党が野党時代はあれほど消費税の悪影響を理解していて、与党になっても増税させないと断言していたのに、与党になった途端、手のひらを返してしまったのは何故だろう。あの消費税増税派で固めた有識者会議とは何だったんだろう。謎は残るが、政治は結果責任。今の日本が衰退しているのは、第二次安倍政権以降ずっと推し進められているデフレ推進政策と、格差拡大政策が主な原因。この2つの軸がブレないのはなぜだろうか。第二次安倍政権前の株式低迷から、安倍首相の退陣までの8年間。僕ら投資家は儲けに儲けた。投資家みんながぼろ儲けだ。僕も儲けに儲けた。入金分も少しあるが、800万円以下が6000万円以上になった。約8倍だ。レバレッジをかけていない、低PER銘柄への本格的な分散投資家で、リスクらしいリスクを殆ど取っていないような投資家である僕でさえ、8倍になったんだ。リスクを取っている投資家は言わずもがな、だ。僕は安倍元総理に感謝するべきなんだろう。強力な格差拡大政策により、最も恩恵を受けた部類に属している一人だ。でも、無感情なんだ。日本国力を大きく低下させたことに対する恨みもない。何もしなければデフレ脱却した経済を腰折れさせた恨みもない。日本株投資家として儲けに儲けた感謝の気持ちもない。ただ無感情なんだ。僕は、安倍元総理の考えが最後まで分からなかった。あれだけ分かっていて、なんで消費税増税をしたのだろう。2回も。何で財政政策を拡大しなかったんだろう。日本の未来のためにはどうすれば良いか分かっていたのに、なぜそれをしなかったんだろう。できなかったんだろう。諦めたんだろう。アベノミクス下での経済政策の間違いに対する絶望感は、もう忘れてしまったのかもしれない。今じゃ、僕は安倍元総理大臣を恨んでいない。ただ無関心なだけなんだ。経済政策への疑問は残る。でもそれを知ることは不可能だ、知りたいとも思わない。きっと、そういうことなんだろう。