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2008.06.22
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カテゴリ:SEIKO
 今年のセイコーの一番のトピックスと言えば、やはり「クレドール ノード叡智」でしょうか。
 高級陶磁器メーカー「ノリタケ」との共同開発による磁器製の文字盤は、透き通るような白地に深い青(紺)色のシンプルなバーインデックスとブランドロゴ、そして透かしのように描かれた「2・4・7」の白い文字により、この上なく上品に仕上がっています。そして中に納まっているのは手巻きのスプリングドライブですが、ベースの7R88に新開発の「トルクリターンシステムを搭載することで、元々48時間だったパワーリザーブを60時間に向上させた7R08です。この「トルクリターンシステム」とは、ゼンマイの解ける力で回転する香箱から、余分なトルクを角穴車に伝え、角穴車を自動的に巻き上げるというシステムです。余分なトルクを回収して有効利用するというのは、なんだかとってもECOな感じで好感が持てます。でも冷静に考えると、最初から細長いゼンマイ(低トルク・ロングパワーリザーブ)にすればいいのでは?とか、そもそもスプリングドライブには72時間巻きがあるじゃん、というツッコミを入れたくなってしまいますが、こういった技術を発想し実現することが、更なる技術革新に繋がることであり、セイコーの技術者魂を見たような気がします。Ptケースで577.5万円というのはちと無茶苦茶ですが...

 もう一つの目玉が「グランドセイコー スプリングドライブ ダイバーズウォッチ」(写真はこちら)です。意外ですがグランドセイコーとしては初めてのダイバーズウォッチで、72時間巻きの自動巻きスプリングドライブが搭載された200m防水の本格ダイバーズです。今「本格」と付けましたが、セイコーの最上級ラインのグランドセイコーとしてはちょっと物足りない感は否めません。セイコーには「プロスペック」があり、こちらの方がハイスペックの本格ダイバーズが揃っているので、あえてグランドセイコーとしてはハイスペックには拘らなかったのでしょうか?しかし独自のトルクコントロール逆回転防止ベゼルや(高級感よりも)視認性を重視したと思える文字盤や指針を見る限り、実用性重視のモデルであることは明らかです。やはりロレックス「サブマリーナ」の需要を食ってやろう、というのが本当の狙いでしょうか?それなりにステータスのあるダイバーズが欲しいけどロレックスは避けたい、と思っている人にはストライクかもしれません。

 もう一つ、既に発売されていますがセイコーブライツの新シリーズ「フェニックス」の機械式クロノグラフモデルはかなりいい感じだと思います。完全マニュファクチュールのコラムホイール作動の自動巻きクロノグラフが20万円台というのは、世界中見渡してもセイコーくらいでしょう。

 最後に、「スプリングドライブ Spacewalk」です。2008年10月に民間人として史上6人目の宇宙旅行を計画している、アメリカ在住のビデオ・ゲーム・デザイナーであり、冒険家でもあるリチャード・ギャリオット氏に提供する特別モデルです。スプリングドライブクロノグラフで、竜頭を12時位置に持っていったイズルに近い形状で、視認性、操作性、軽量化など宇宙空間での使用を想定して特別に設計されています。青くて太いGMT針がオメガフライトマスターを彷彿とさせる、なかなかインパクトある意匠です。ギャリオット氏はこの「スプリングドライブ Spacewalk」を付けて民間人初の宇宙遊泳をする予定でしたが、残念ながら宇宙遊泳は断念したとの情報が入っています。宇宙遊泳成功後に発売を予定しているセイコーとしては、なんとかこのモデルの宇宙遊泳を実現したいようですが、今のところ目処は立っていないもよう。自社の時計を宇宙に送り込む(宇宙空間に出す)と言うのは、一流ブランドの一つのステータスなのでしょう、近いうちに実現することを楽しみにしたいと思います。

 これ以外にも年間を通じてちょいちょい新作が出るものと思われます。セイコーは総じて真面目な時計造りに取り組んでいると思われるので、特に低価格帯のモデルに期待したいと思います。


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Last updated  2008.06.22 22:24:53
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