テーマ:時計NEWS(281)
カテゴリ:ORIS
オリスの新作の続きです...
前回はモータースポーツとダイバーシリーズを紹介しました。今回は残りのアヴィエーションとカルチャー、レディースの紹介です。 まずはアヴィエーションシリーズに新たに加わった「BC4」シリーズ。 4点ビス止めされたクッションケースが印象的な、新しいデザインのアヴィエーションウオッチです。42.7mmというケースサイズ(3種類とも共通)は、昨今のデカ厚ブームの中にあってはそれ程大きいと言う数値でありませんが、クッション型ケースは同じケース径のラウンド型に比して投影面積が大きいため、数値より大きく、ボリューム感たっぷりに見えます。 左から、BC4フライトタイマー。これは9時位置のスモールセコンドと3時位置の第2時間帯表示ダイヤルがシンメトリックに配されていますが、各々のダイヤルの大きさや針の数が違うことで絶妙な表情をしています。更に2時位置に鎮座するインナーベゼル操作用竜頭が強烈なインパクトを与えており、一目で機能は解らずともある用途に専門特化した特殊な時計であることが伺えます。また、2つのプッシュボタンでセンターの時針と第2時間帯の時針をそれぞれ1時間単位で操作することができ、ホームタイムとローカルタイムのセットが非常に簡単にできるという構造になっています。ベースはETAの汎用機2836ですが、かなり複雑なモジュールが搭載されています。 次にBC4クロノグラフ。7750ベースの自動巻きクロノグラフですが、フライトタイマーと比べるとかなり「普通」の時計に見えます。が、それでもこのクッションケースと精悍な色使いは十分な存在感を持っていると言えます。 3つ目はBC4スモールセコンド・ポインターデイ。オリスは以前からしばしばこの「ポインターデイ」を採用してきました。文字盤外周に記された曜日を大ぶりなポインターで指し示す機能ですが、時計でありながら「反時計回り」に回る針であるうえ、1度に動く角度が50°以上という、極めて珍しい動きをする表示機能であると言えます。 次にカルチャーシリーズですが1つだけ、知的な印象のアートリエシリーズの新作「アートリエ アラーム」です。 オリスがアラーム機能を持つ腕時計を製造するのは初めてです。1970年代に製造されたAS5008のリプロダクト品、LJP5800(ラ・ジュー・ペレ製)をムーブメントとして搭載しています。ムーブメントの製造には定評があり、高級ブランドにも多く採用されているラ・ジュー・ペレ。この他にも手巻きクロノの名機ヴィーナス175のリプロダクトも手掛けていたり、ETA7750をコラムホイールにモディファイするなど、その技術力の高さは折り紙付き。今後益々注目のムーブメントメーカーです。 最後にレディースの新作です。 左から、アートリエ デイト ダイヤモンド、レクタンギュラー デイト ダイヤモンド、レクタンギュラー デイト2008の3種類です。 レディースの機械式というのは、最近は増えてきたとは言えなかなかどのブランドも種類が少なく、正直機械式に拘ると選択肢がかなり限られるというのが現状です(そもそも機械式に拘る女性が多いとは思えませんが...)。そんな中でも機械式を常に数種類ラインナップに持つオリスは貴重な存在と言えます。どうしてもサイズの小ささやデザインの自由度ではクォーツに勝てませんが、機械式ならではのゼンマイを巻く感覚、細かく運針する秒針、シースルーバックやオープンハートから覗く小気味良いテンプの動き等々、所有欲をくすぐる要素が多分にあります。これからクリスマスもありますので、ぜひ大切な方へのプレゼントに如何でしょうか?^^;) 以上2回に分けてオリスの新作を紹介しましたが、こうしてみると改めてオリスの良心的な部分が見えてきます。外装面では様々な素材や凝った造形・構造を採用したり、ハイスペックな防水機能を持たせたり、ムーブメントに関しても独自のモジュールを搭載するなど、それなりにコストがかかっていそうなことを低価格で実現しています。逆に言えば、他のもっと高額なブランドも企業努力でオリスのようなコストパフォーマンスが実現できるのかもしれません。 今時計業界は、如何に付加価値を付けて価格を上げられるか、ということに執着しすぎているように見受けられます。既に世界的な金融危機で高級ブランドは厳しい状況になってきていると聞きます。個人的にはこれを機につまらない高級ブランドが淘汰されるのであれば、それは大いに歓迎です。クォーツショックの時のような極端な衰退は無いと思いますが、ここ数年の「暴走」に歯止めをかける良いチャンスかもしれません。 まあ、私は良質な機械式時計が安く買えるようになればいい、と思っているだけです^^;) ORIS一覧へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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