テーマ:時計NEWS(281)
カテゴリ:SEIKO
今年セイコーから発表された新作「グランドセイコー メカニカル ハイビート 36000」は、名前の通り36000振動/h(10振動/秒)の新開発ムーブメントです。現行モデルで10振動と言えばゼニスの自動巻きクロノグラフ「エルプリメロ」がありますが、量産3針自動巻きムーブメントとしては唯一の存在となります。
遡ること1960年代、ロンジン、ジラールペルゴ、そしてセイコーは既に10振動のハイビートムーブメントを製造しており、件のクォーツショックがなければ、もしかしたら10振動(更に12振動も)が現在の主力となりえたかもしれません。しかし現実にはクォーツショックにより多くのブランドの技術開発が事実上ストップし、結局それまでに技術が確立されていた8振動以下しか生き残れなかったのでしょう(エルプリメロは例外として)。 そして今年発表された「Cal.9S85」は単に40年前の10振動を復活させたものではありません。主ゼンマイ、ひげゼンマイを素材から新たに開発し、ガンギ車やアンクルは「肉抜き」して軽量化、またガンギ車の刃先は最先端のレーザー加工により潤滑油の保持力を高めるなど、完全にハイビートに最適化した機械になっています。(詳しくはセイコーさんのHPを参照下さい) ただあえて残念なところを挙げるなら、フリースプラング化がなされなかったことでしょうか?セイコーさんはフリースプラングにあまり興味がないようなのですが、精度に拘るならやはりフリースプラングは是非とも取り入れて欲しいものです。 今年はオーデマ・ピゲから12振動のAP脱進機搭載モデルが出たり、ファーブルルーバから開発中の10振動ムーブメントの発表があったりと、にわかにハイビート競争の始まりを予感させる話題が出てきました。フリースプラング化の次はハイビートがトレンドになっていくのでしょうか...(個人的には5や6振動のゆったりしたテンプの動きを見るのが好きなんですが^^;) もう一つ、セイコーブライツシリーズが充実してきました。中でも新シリーズ「アナンタ」は、独特のケース形状の比較的高級ラインで、スプリングドライブや、新開発の機械式クロノまでラインナップされています。特に機械式クロノは新型の自動巻きクロノグラフで、コラムホール作動、垂直クラッチ採用の高級仕様でありながら定価30万円以下というのは拍手を送る他ありません。ちなみに「アナンタ」とはサンスクリット語で「終わりのない」、「無限」を意味する言葉で、デザインのイメージは「日本刀」だそうです。イメージ通り、海外の高いだけで実力が伴っていない時計(ブランド)をバッサバッサと切り捨ててほしいものです。 世界的な大不況をものともせずに力の入ったモデルを投入してきたセイコー。日本の技術力の高さを見事に証明して世界に発信し続ける姿勢には、改めて拍手を送りたいと思います。 TOPページのブランド別検索コーナーが新しくなりました。まだ工事中の部分もありますが、今後とも宜しくお願い致します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.06.14 22:16:47
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