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2010.05.02
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 今年のバーゼルで発表されたシャネルJ12シリーズの「Retrograde Mysterieuse」。一見ただのトゥールビヨンに見える新しいJ12は、J12シリーズ10周年記念限定モデルで生産本数は僅か10本です。
Chanel J12 Retrograde Mysterieuse
 ところでこのモデルの最大のハイライトはトゥールビヨンではなく分針の運針にあります。文字盤をよく見ると3時位置に「丸いもの」があり、これが分針の運針を妨げるため、分針は特殊な動きをすることになります。
 説明によると、分針は20分(4時位置)から時計回りに進んで10分(2時位置)までの間は通常の時計と同じ動きをしますが、10~20分の間は10分間かけて逆回転で20分まで進み、また通常の運針を始めます。分針が逆回転している間の分表示は6時位置の回転ディスクが受け持つのだそうです。

 分かりにくっ!というのが正直な感想です。
 時計を見た瞬間、現在時刻が10~20分なのか、それ以外なのかをまず判断しなければならず、つまり時針と分針の位置関係だけで直感的に読み取ることができません。

 で、何故こんなややこしい時刻表示になったかというと、3時位置の「丸いもの」が原因なのですが、実はこれが竜頭で、シャネルとしては完全なラウンドケースを実現するために竜頭を文字盤に食い込ませ、これを避けるがためにこのような複雑な機構を乗せた、のだそうです。
 文字盤に対して垂直に取り付けられた竜頭は、1回押すことで飛び出して操作可能になり、ベゼルの「タイル」を押すことで時刻合わせと巻き上げを切り替えます。確かに面白い機構ではありますが、竜頭をわざわざ文字盤側に置く必要性には疑問が残ります。手巻きなんだから素直にケースバックに付ける方が遥かに合理的ですよねぇ?。しかもこれを実現するため「だけ」にヘンテコな運針の機構を乗せて、時刻の読み取りにくさを致命的なものにしています。

 ムーブメントの開発はルノー・エ・パピで、シャネルの要求を実現するために相当の苦労をしたことでしょう。竜頭の機構だけはシャネル側で開発したようですが、まあ、その竜頭のお陰でヘンテコな分針の機構を開発することになったルノー・エ・パピとしては、それぐらい自分のとこでやれよ、といったところでしょうか...

 前例のない機構ではありますが、どうにも合理的な必然性が見出せず、単に差別化だけを目指して無駄に複雑機構にしているようにしか見えません。予価2625万円という価格設定に説得力を持たせるためだけに付けられた(ように見える)トゥールビヨンを含め、やっぱり珍しいもの好きなお金持ちにウケる「おもちゃ」が作りたかったんだろうな~と。シャネルはファッション界では大きな存在で、時計ブランドとしても存在感を高めてきていますが、まだ時計に関しては見識が低いというか、いまひとつセンスがないと感じます。

 少々(かなり?^^;)シャネルに対して批判的な内容になってしまいましたが、私は、少なくともシャネルの時計に関しては好きではありません(時計以外のアイテムが好きと言う訳でもないですが)。高級時計市場の中での地位を築きたいがために、力技で高価なムーブメントを得ているだけのように見え、どうしても機械式時計としての完成度が低く見えてしまう...。シャネルに限ったことではないけど、10年後、20年後、50年後、ちゃんとアフターケアする気があるのか?機械式時計が廃れたらサッサと撤退するのでは?と、時計メーカーとしての姿勢を問いただしてみたいと、改めて思わせる今回の新作でした。







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Last updated  2010.05.03 20:23:13
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